ヨガと深い関連性を持つ「瞑想」。最近ではマインドフルネスを実現させるための方法として、企業や医療機関で取り入れられることも増えてきました。
そこで今回の記事では、「瞑想ヨガを実践してみたい」という方に向けて、自宅ですぐに実践できるやり方をご紹介していきます。
初心者の方でも挑戦しやすい瞑想から上級者向け瞑想まで、期待できる効果ごとに9つの瞑想法のやり方と、瞑想の効果を高めるためのポイントを解説するのでぜひ実践してみてください。
瞑想とは?ヨガと瞑想の関係性とは?
ヨガと一緒に語られることが多い「瞑想」とは、心身療法の一つで次のような効果が期待できるとされています[1]。
- 心の安定をはかる
- 身体をリラックスさせる
- 心身のバランスを改善する
- 身体の健康や心の幸福感が増進する
- 高血圧や疼痛、腸の疾患を緩和させる
- うつ症状や不眠症を改善させる
瞑想は古来から続く民間療法と言えますが、ヨガの発祥においては同一のものとされていたため違いは明確ではありません。
ヨガと瞑想はいずれも、人間たちが抱く悩みやつらさを和らげるためのもの。
しかし、座位で瞑想に集中することは簡単ではないため、ポーズや呼吸によって瞑想の効果を高めるヨガの中に取り入れられていきました。
ヨガにおける瞑想のやり方徹底解説!マインドフルネス&リラックス効果を得るための9つの瞑想法
心身にさまざまな効果をもたらす瞑想。健康法や心の平穏のために日常生活の中に取り入れていきたいと考える方も多いでしょう。
そこでここからは、9つの瞑想ヨガのやり方やメリットについてご紹介していきます。
それぞれ得られる効果は異なるので、ご自分の目的にあった瞑想法から試していきましょう。
まずは瞑想をするための準備をしよう
スムーズに瞑想へと入るためには、集中できる環境を整えることが大切です。
まずは瞑想に集中するため、誰にも邪魔されない静かな環境を作り出すことが第一。
できればパソコンやスマホなどの電子機器がなく、窓からの自然光が降り注ぐ心地よい環境が理想です。
姿勢は蓮華座が一般的ですが、ご自分にとって楽な姿勢であれば椅子に座っても構いません。
ただし、楽な姿勢で目を閉じていると、眠気に襲われる方も多いはずです。とは言え、空腹だと集中力が途切れやすくなるため、空腹でもなく、満腹でもない時間帯に行うようにしてください。
そして、軽くストレッチをして体の緊張をほぐしてラックスさせたら、瞑想の準備は万端です。
【マインドフルネス瞑想】初心者向け・基本的な瞑想法
まずは瞑想ヨガ初心者の方でも比較的取り組みやすい、「マインドフルネス瞑想」のやり方を見ていきましょう。
マインドルフネス瞑想を実践すると、自律神経のコントロールが可能になるとともに、今自分の中にある感情・思考・感覚を認識し、受け入れられるようになります。
Apple社元SEOのスティーブ・ジョブズ氏が実践していたことで有名で、Google社、Yahoo!社でもマインドフルネス研修で行っている瞑想法です。
- 楽な姿勢で座り目を閉じる
- 口からゆっくりと深く息を吐く
- 吐ききったら口からゆっくりと息を吸う
- 2~3を数回繰り返す
- 口呼吸を鼻呼吸に変え、さらに腹式呼吸へと変えていく
- 3~5分間続ける
腹式呼吸が難しい、つらいと感じる方は胸式呼吸でも構いません。
【スピリチュアル瞑想】リラックス効果・安眠を求める方に
次にご紹介する「スピリチュアル瞑想」は、リラックス効果・睡眠効果が高く、ヒンドゥー教などにおいて神・地球・宇宙とつながるための瞑想のやり方として活用されています。
つながった結果、自分自身の奥深くに存在する「自分の核」と出会え、本当の自己に目覚められることもあるという、その名の通りスピリチュアル性の高い瞑想法です。
- 楽な姿勢で座り目を閉じる
- 自分自身のマイントを「祈り」の言葉として心の中で思い浮かべる
- 浮かんだ言葉をすべてポジティブにするため言葉として表現する
- ポジティブで穏やかな心の状態になる
- ゆっくりとした呼吸へと意識を向ける
- 5分間続ける
「祈りの言葉」というと難しそうに感じられますが、悪いことをしたと思ったなら「ごめんなさい」「許してください」、嬉しいことがあったなら「今日もありがとう」「とてもうれしかったです」など、マインドを素直に表現すればOKです。
【呼吸瞑想】自律神経バランス改善・精神状態安定作用を得られる呼吸メインの瞑想
「呼吸瞑想」とは、ただ自らの瞑想呼吸へと意識を向ける瞑想ヨガです。
自律神経のバランスを改善し、精神状態を安定させる効果が得られる瞑想のやり方ですが、長時間実施すると「セロトニン」という精神安定作用のある脳内神経伝達物質を分泌されると言われるので[2]、20分以上行うとさらに効果的です。
- 楽な姿勢で座り目を閉じる
- 胸の前で両手を合掌
- ゆっくりと目を閉じながら息をすべて吐ききる
- それぞれ5秒間ずつかけて息を吸う・吐くを繰り返す
- 呼吸に慣れたら4秒で吸い、8秒で吐くようにする
- 20分間呼吸を続ける
【集中瞑想】集中力向上・脳のリラックス効果で仕事・勉強を効率化
集中瞑想とは、一つのことにひたすら集中する瞑想のこと。集中するものは五感を駆使して感じ取れるものなら何でも良いです。
周囲に雑音があっても構わず、むしろ工事の音や雨の音、人々の話し声など周囲の雑音に集中して瞑想を実践することもできます。
一つのことだけへの集中状態を保ち他に意識を逸らさないことで、集中力向上や脳をリラックスさせることに効果的。記憶力向上、仕事や勉強の効率化を図りたい人向けの瞑想法です。
- 楽な姿勢で座り目を閉じる
- 集中する対象を決める
- 集中する対象にだけ意識を向ける
- 対象から意識が逸れそうになったら再び対象に意識を向ける
- 5~20分間続ける
【動く瞑想】リフレッシュ・ストレス軽減効果でスッキリした心に
瞑想といえばじっと座って静かに時を過ごすイメージですが、実は動きのある瞑想法もあります。
ポーズを取りながら瞑想の効果を得るヨガやピラティスを思えば不思議ではないでしょう。
動く瞑想にはリフレッシュ効果によるイメージ力アップや人間関係へのストレス軽減効果があり、気持ちをスッキリとさせたいときに効果的。
ヨガやジョギングも動く瞑想の一種だと考えられていますが、こちらでは一例として歩く瞑想のやり方をご紹介します。
じっとしていることが苦手な方や、体を動かしたほうが気分良くなるという方は、ぜひ次のようなやり方で動く瞑想ヨガを試してみてください。
- 普段の歩き方よりも意識的にゆっくりと歩く
- 右足が地面につき足裏で地面の感触を感じたら「右」と意識する
- 左足が地面につき足裏で地面の感触を感じたら「左」と意識する
- 2~3を繰り返す
動く瞑想のやり方を解説すると簡単なように感じられますが、「右」「左」が足を踏み出すための掛け声にならないように、あくまでも「地面の感触による五感を得たら意識する」ことを心がけるようにしてください。
【マントラ瞑想】ストレス解消・作業効率化で生産性を高める
「マントラ瞑想」はマントラを唱えることに主軸を置いた瞑想ヨガのやり方です。
マントラとは祈りなどの意味を含めた短い単語を表現したサンスクリット語のことで、生命に直接働きかける呪文のようなものだと考えてください。
マントラを唱えると雑念がなくなり瞑想状態へと導かれ、さらに体内のエネルギーやチャクラを活性化させるとされています。
チャクラとは、頭頂部から骨盤までの全身の中心7か所にあるエネルギーポイントのこと。つまりマントラ瞑想とは、瞑想で呪文を唱えることにより、全身のエネルギーを通りやすくする瞑想だと言えます。
- 好きなマントラを選び瞑想の時間を決める
- 楽な姿勢で座り目を閉じる
- 深くゆっくりとした呼吸を数分間行う
- 発した音に意識を向けながらマントラを繰り返し唱える
- 10回唱えたら唇のみを動かし静かにさらに10回唱える
- 10回唱えたら口を動かさず心の中でさらに10回唱える
- 自分で決めた瞑想の時間までずっと繰り返す
- 深くゆっくりとした呼吸を数回繰り返し内観する
マントラの中で最も有名なものは「オーム」です。「あ(a)」「う(u)」「ん(m)」という音で成り立っているマントラなので、唱えるべきマントラに迷ったら「オーム」から始めてみてはいかがでしょうか。
【超越瞑想】リフレッシュ・精神状態安定作用でなりたい自分になる
次にご紹介する「超越瞑想」とは、リフレッシュ効果と精神安定効果が高く、「なりたい自分」へと導いてくれる瞑想ヨガで、幸福感の増大にも効果的だとされています。
前項の「マントラ瞑想」のように、マントラを唱える瞑想法です。
超越瞑想は精神をコントロールするのではなく、「今ここにある自分」として自然体になるだけなので、初心者の方でも比較的簡単に取り組めるでしょう。
- 唱えるマントラを選ぶ
- 楽な姿勢で座り目を閉じる
- 心の中でマントラをゆっくりと唱える
- 20分間続ける
【ヴィパッサナー瞑想】心のコントロール・平安・調和を得るための瞑想
「ヴィパッサナー瞑想」は、瞑想の効果として多くの方が期待する、心のコントロールや平安、調和を得るための瞑想ヨガ。
マインドフルネス瞑想の中の一つで、頭の仲を支配する妄想を捨て、今ある現在の瞬間に気づくために行う瞑想法です。
妄想を消すことで悩みや迷い、自己嫌悪、高慢さ、落ち込み…など、ポジティブな心に不要な気持ちをも捨てることができ、物事をあるがままの真実の姿として捉えられるようになります。
- 楽な姿勢で座り目を閉じる
- 鼻からゆっくりと息を吸い、鼻へと入る空気を意識する
- 鼻からゆっくりと息を吐き、鼻から抜けていく空気を意識する
- 途中で雑念が浮かんだら「雑念を感じた」ことに気づき呼吸へと意識を戻す
- 30分間続ける
「ヴィパッサナー瞑想」は動く瞑想と同じやり方でも実践できます。
意識を「呼吸」に向けるのではなく、「足裏への感触」に置き換えれば、先にご紹介した動く瞑想として実践可能です。
【シュミッツ式完全呼吸法】疲労回復効果・心の穏やかさを与える
最近話題になっている瞑想ヨガのやり方の一つが、「シュミッツ式完全呼吸法」です。
シュミッツ千栄子さんが提唱する「シュミッツ式完全呼吸法」とは、健康効果の高い瞑想法だとされており、呼吸法によって心身をリラックスした穏やかな状態へと導きます。
自律神経のバランスを整える効果もあるとされ、集中力・精神力アップ、ストレス解消にも効果的です。
- 背筋を伸ばして背骨と背骨の間を広げるように楽に座る
- 右手を胸に、左手を下腹部に当てる
- 腹式呼吸で息を吸って、胸式呼吸でさらに胸を高くするように吸う
- 腹式呼吸で息を吐く
- 8回繰り返す
- 自然呼吸に戻す
- そのまま全身のエネルギーの流れと感覚を観察する
初心者でもできる!瞑想ヨガをもっと効果的に実践するための方法
9つの瞑想ヨガのやり方をご紹介してきましたが、中には「初心者には少し難しい」と感じられた瞑想法も合ったかもしれません。
簡単に実践できる瞑想法でも、より効果を高めるためには次のように実践するときのポイントがあります。
ポイントを押さえて、一度の瞑想で高い効果を得られるよう練習をしましょう。
瞑想の準備をしっかりとして姿勢を正す
まずは、瞑想の準備をすることが大切です。瞑想ヨガの準備については、瞑想のやり方の最初の方でご紹介しました。
周囲の雑音がうるさく、心地よくない環境では瞑想に集中できません。
環境を整えて居心地の良い場所を作ること、操り人形のように上から頭を引っ張られるように姿勢を正してエネルギーの流れを良くすることを意識して準備を万端にしてください。
雑念を無理に払おうとしない
瞑想中は「雑念を払うこと」に意識を向けがちです。「瞑想に集中しなければ」と思ってしまう方が多いでしょうが、雑念を無理に払おうとする必要はありません。
雑念が現れてしまうことは当然のことなので、そのまま雑念が過ぎ去るのを待ちましょう。
どうしても雑念が邪魔だという方は、頭の中でろうそくの火が揺らいでいるイメージを眺めることをおすすめしますが、瞑想を繰り返すことによって徐々に雑念も浮かばなくなっていきます。
アプリ・動画・CDでリラックス効果を高める
瞑想のためのスマホアプリや動画、マインドフルネスCDブックのオーディオ言語などを活用すると、簡単にリラックス効果を高められるようになります。
最近ではアプリで手軽に瞑想のための音楽を入手することができるので、無料アプリを小さな音量で流してみると、初心者の方でも瞑想の世界に浸りやすくなるはずです。
瞑想ヨガで「わがまま」になるって本当?自己中心性が高まるという噂の真偽は?
瞑想ヨガは自己を見つけ、ストレスを解消したり、心の平穏を保ったりする効果が期待できます。
しかし最近では、「瞑想ヨガでわがままになる」という話を耳にするようになりました。瞑想ヨガで自己中心的になるのであれば、実践したくないと思われる方もいることでしょう。
事の発端はドイツの研究結果として報告された論文にあります。瞑想によって自己を克服すると自己高揚感や幸福感が高まる一方で、自我を高め拡大させていると報告されたのです。
ただし、対象の研究が瞑想ヨガの正しいやり方を実践していなかった可能性も否定はできず、瞑想を行った人の根底にある考え方にも左右されるとも考えられます。
実際に、対象の研究はドイツ人を被験者としていましたが、瞑想ヨガの発祥であるインドの人とドイツ人では考え方に差があって当然でしょう。
瞑想ヨガは自己を肯定するという側面を備えていることから自我が強くなる可能性もありますが、世界的に自我が弱いとされる日本人においては、自己肯定感や自己幸福感を高めるための良い習慣となると考えられます。
ヨガの瞑想効果がすごい!やり方を覚えれば初心者でも日常生活でプチリセットができる
「サンカラ」など企業向け瞑想をレクチャーしている企業があるのも、瞑想の効果が確かなものであるという証でしょう。
ヨガにおける瞑想は呼吸法ステップを習得すれば、自己の向上や自我の克服、精神安定だけでなく、免疫力アップにも役立つと言われています。瞑想は静かな場所で座って行うことが基本ですが、「つり革瞑想」など満員電車の中で実践できるユニークなものも。
瞑想の目的が達成されると、「第3の目」とも呼ばれる眉間の「霊眼」へと意識が集中するとされます。
霊眼に意識を集中させるまでの境地に達するには、ヨガスタジオのクラスでインストラクターから学ぶことが必要だと思われますが、今回の記事でご紹介した情報を参考に、瞑想の世界を体験してみてください。
[1]参照:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM:瞑想
[2]参照:e-ヘルスネット:セロトニン