女性なら普段から毎日日焼け止めを使っている方が多いでしょうが、登山でも「いつもの日焼け止め」を使っていませんか?
実は、山の紫外線は街中よりも強烈で、特に入念なUV対策が必要です。
そこで今回の記事では山の紫外線も強力にカットしてくれる、登山におすすめの日焼け止めをタイプ別にご紹介します。
日焼け止めの選び方や紫外線の健康リスクも解説するので、登山に行くならしっかりと危険性を把握して万全の準備をして出かけましょう。
ご存知ですか?山の紫外線量は平地の約140%になることも
登山をするときに日焼け止めが必須だと言われている理由は、山の紫外線量は平地に比べて圧倒的に多いためです。山の紫外線量はなんと、平地の約140%にもなると言われています。
紫外線が人に害を及ぼす指数は「UVインデックス」と呼ばれ[1]、気象庁からの報告によると、UVインデックスは標高が1,000m高くなるごとに約10%増えるのだそうです。
標高2,772mの乗鞍岳で夏季に観測された紫外線量は、標高31mのつくばに比べ140%にも上ったとのこと[2]。
山では空気分子などにより紫外線が散乱される量が少ないので[2]、平地より空に近く、届く紫外線量の多い山の上では紫外線対策は必須です。
日焼け止めなしでの登山は危険!紫外線による身体へのこわい影響とは?
一般的に「人体に害がある」と言われている紫外線。実は日焼けやシミの原因になるだけでなく、思いもよらないような影響を人に与えるものです。
日焼け止めを塗らず登山をすることの危険性を、紫外線による害から考えてみましょう。
強い紫外線に当たると現れる「急性症状」
紫外線による害としてよく知られているのは、真っ赤に日焼けをするなどの「急性症状」です。紫外線の急性症状は肌に現れるだけでなく、全身に悪影響を及ぼすこともあります。
日焼けをして肌がやけど状態に
紫外線による影響と聞いてまず思いつくのが、日やけで肌が真っ赤になることではないでしょうか。
日焼けは肌がただ赤くなっているだけではなく、軽いやけどを起こしている状態です[3]。
強い紫外線にあたってすぐに現れるヒリヒリとした肌の炎症は「サンバーン」と呼ばれますが、紫外線にあたって数日後から炎症が出る「サンタン」という症状が現れることもあります[3]。
紫外線角膜炎を発症する
強い紫外線は肌だけでなく目にも害を及ぼします。
登山から帰ったら白目が充血していた、目に違和感がある、涙が出る…などの症状が見られた場合、急性症状による「紫外線角膜炎」を発症しているのかもしれません[3]。
別名「雪目」と呼ばれることからもわかるように、夏の晴れた山だけでなく、紫外線の反射量が多い雪山でも注意が必要です[3]。
紫外線によって免疫機能も低下
紫外線にあたることにより免疫機能が低下することはあまり知られていません。
肌の表面には免疫機能を司る細胞があり、紫外線により損傷を受けると免疫機能が抑制されてしまうことがあるためです[3][4]。
そのため強い紫外線にあたると全身の病気に対する防御力が低下するとともに、アトピー性皮膚炎や口唇ヘルペスなど、免疫に関連する慢性的疾患が悪化することも考えられます[4]。
長期間に渡り紫外線を浴び続けると「慢性症状」が…
紫外線による急性症状について解説してきましたが、紫外線の影響が長年に渡り蓄積されると、慢性症状として現れることも…。
日焼け止めを塗らずに登山を続けていると、いつか次のような症状が現れる可能性もあります。
シミ・シワなどの肌老化をまねく
紫外線の慢性症状として最もよく知られるのが、シミ・シワなどの肌老化です[3]。
女性が登山以外でも日焼け止めを塗るのは、肌老化を防ぐため。
紫外線は肌の奥深くにまで届き、メラニンの合成によりシミを作り出したり、コラーゲンやエラスチンなど肌の弾力を支える物質を壊して、シワやたるみを悪化させたりします[5]。
また、細胞の酸化が促されることにより、肌細胞自体の老化も早まることから紫外線は肌老化の大敵です[6]。
日光角化症・悪性黒子・皮膚がん発症のリスクも
紫外線の慢性症状はシミ・シワなど見た目への影響だけでなく、日光角化症・悪性黒子・皮膚がんなどの疾患の発症も促します。日光角化症や悪性黒子は皮膚がんの前兆である疾患です。
肌に照射された紫外線は少しずつ肌細胞のDNAを破壊し、DNAの突然変異を生じさせることでがん細胞が生まれやすい状態になります[3]。
また、紫外線が免疫力を低下させると先に解説しましたが、免疫抑制によりがん細胞の排除が行われにくくなることも、紫外線照射により皮膚がんが起こりやすい理由のひとつです[3]。
目に入った紫外線は白内障・翼状片の原因に
最後にご紹介する紫外線による慢性症状は、白内障と翼状片です。
目が長期に渡り紫外線にさらされた場合、白内障や翼状片により視力が低下したり、最悪の場合は失明に至ったりすることもあります。
目への紫外線対策は日焼け止めではできませんが、登山の趣味を長く続けていこうと思っている方は、山での紫外線対策を万全にしなければいけません。
登山で使いやすい日焼け止めは?選ぶときの5つのチェックポイントを覚えよう
身体にさまざま悪影響を及ぼす紫外線。対策のためには日焼け止めが欠かせませんが、どの製品でも良いわけではありません。
そこで、日焼け止めを使い慣れていない男性でもわかりやすいように、登山で使いやすい日焼け止めを選ぶ際のチェックポイントを解説していきます。
スプレー缶・スティックタイプの日焼け止めが使いやすい
まず、登山で使いやすい日焼け止めを選ぶなら、スプレータイプかスティックタイプがおすすめです。
日焼け止めは定期的に塗り直しが必要なので、さっと手早く使えることが大切。
手を汚すことなくスプレーするだけで塗り直せる日焼け止めなら登山をしながらでも使えます。
スティックタイプは塗る手間があるのでスプレータイプほどではありませんが、手のひらの上に出さなくても直接肌に塗れるのでやはり手軽さが魅力です。
SPF50+・PA++++の日焼け止めである
次は、日焼け止めの効果の基準である「SPF」と「PA」の選び方です。登山のように強い紫外線に長時間あたるときは、最もUVカット効果の高い「SPF50+」「PA++++」の日焼け止めを選んでください。
SPFとPA値の低い日焼け止めは買い物や通勤・通学など日常用なので、アウトドアでは効果の高い製品を選ぶことが基本です。
ウォータープルーフなら汗をかいても安心
登山中、気づいたら大量の汗をかいていた…ということは少なくないはずです。
汗をたくさんかいたとしても、「ウォータープルーフ」の日焼け止めなら効果が持続します。
ウォータープルーフとは耐水性のこと。
汗や水によって流れにくい性質を持つので、登山ではウォータープルーフの日焼け止めを選びましょう。
肌質にあっているか事前にチェック
日焼け止めは紫外線から肌を守るためのものですが、肌が弱い方にとっては、日焼け止めの成分が刺激になることもあります。
もしドラッグストアなどで試供品があれば、内肘など皮膚の薄い部分に塗ってみて、肌質にあうことを事前にチェックしてから選ぶのがおすすめ。
もし赤みやかゆみなどが現れるようであれば、他の製品を検討してください。
敏感肌の方はノンケミカルの日焼け止めがおすすめ
さまざまな刺激に反応してしまう敏感肌の方は、一般的な日焼け止めではどれも刺激が強すぎるかもしれません。
そこでおすすめなのが、ノンケミカルの日焼け止めです。
ノンケミカルの日焼け止めとは「紫外線吸収剤」を使用せず、「紫外線散乱剤」でUVカット効果をあたえる製品のこと。
紫外線吸収剤は人によりかぶれることがありますが、紫外線散乱剤でアレルギー反応が起こることはほとんどありません[7]。
男の人にもOK!登山におすすめの日焼け止めをタイプ別に7アイテム厳選!
それでは、登山に最適な日焼け止めの選び方を踏まえた上で、男の人でも使いやすいおすすめの日焼け止めをタイプ別でご紹介します。
いずれも登山をする人から人気の高い製品なので、迷ったらご紹介する中から選んでください。
【スティックタイプ】ヴィーヴォ アウトドアUV
まずは登山中でも手軽で使いやすいスティックタイプの日焼け止めです。「アウトドアUV」という商品名からもわかるようにアウトドア用に開発されました。
登山のプロが開発に関わっているとのことで、コンパクトで携帯しやすいこと、ユーカリハッカ油配合で虫よけ効果があることなど、登山で使いやすいよう配慮。
カラーはナチュラルカラーを含む3種類でお好みにあわせ選べます。
- SPF:SPF50+
- PA:PA+++
- 容量:10g
- 価格:2,970円(税込)
【スプレータイプ】サンカット パーフェクトUVスプレー
KOSEから発売されている人気のサンカットシリーズ。スプレータイプで山を歩きながらでもさっと塗り直せる手軽さがポイントです。
UVカット効果は国内レベルでは最高で、「ストレッチフィット処方」により肌にしっかりとフィットするため、汗をかいても落ちにくくなっています。
- SPF:SPF50+
- PA:PA++++
- 容量:60g
- 価格:798円(税込)
【ローションタイプ】ビオレUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス
エッセンスのように肌なじみが良く、透明感があることから日焼け止め特有のベタベタ感が軽減されたアイテム。
「ミクロディフェンス処方」により塗りムラができにくく、肌を均一に紫外線から守ります。
ヒアルロン酸やローヤルゼリー、ウォーターカプセルを配合していることで保湿もしてくれるので、乾燥肌の方におすすめです。
- SPF:SPF50+
- PA:PA++++
- 容量:50g
- 価格:695円(税込)
【ミルクタイプ】ビオレ UV アスリズム スキンプロテクトミルク
続けてビオレUVのアイテムですが、ミルクタイプで肌になじんだ後にすべすべとした感触になることが特徴です。
ウォータープルーフなのに石けんだけで落とせ、汗・水・擦れに強い耐久性が確認されているため、登山用の日焼け止めとして心強いアイテム。
「アクアリッチ」と同じように、保湿成分も配合されています。
- SPF:SPF50+
- PA:PA++++
- 容量:65ml
- 価格:1,650円(税込)
【ジェルタイプ】アネッサ パーフェクトUV スキンケアジェル a
ジェルタイプで肌に乗せたときにみずみずしく、さっぱりとした使い心地の日焼け止めです。
スーパーウォータープルーフで水分に強く、さらに水や汗でUV膜が強くなる独自の技術を採用。汗をかきやすい登山シーンで、さらに高いUVカット効果を発揮してくれる稀な日焼け止めです。
- SPF:SPF50+
- PA:PA++++
- 容量:90g
- 価格:2,640円(税込)
【パウダータイプ】プライバシーUVパウダー50
パウダータイプとは、化粧品のようにパフで塗るタイプの日焼け止めのことです。
男性であればパウダーの日焼け止めは使い方に抵抗を感じるかもしれませんが、皮脂吸着パウダーとテカリカットパウダーが配合されているので、登山中でもマット肌になりさらさらで快適。
敏感肌の方でも使え、メイクの上からでも使え女性にもおすすめです。
- SPF:SPF50+
- PA:PA++++
- 容量:3.5g
- 価格:1,540円(税込)
【飲む日焼け止め】ロート製薬 ヘリオホワイト
サプリメントのような錠剤を飲むだけで、髪を含む全身に美白効果が発揮される飲む日焼け止め。
日焼け止めを塗った後の感触が気になる方、登山中の塗り直しが面倒な方にとって飲む日焼け止めは強い味方となります。
ただし、日焼け止めではなく「美容補助食品」です。あくまでも塗る日焼け止めの補助として活用することをおすすめします。
- SPF:-
- PA:-
- 容量:9.6g(400mg×24粒)
- 価格:2,592円(税込)
登山で絶対に焼かない!日焼け止めの効果を最大限に引き出す使い方は?
登山におすすめの日焼け止めを7種類ご紹介しましたが、日焼け止めは正しく使ってこそ効果が発揮されます。
登山中の紫外線対策を万全にするには、次の3つのポイントを守って、日焼け止めを正しく使いましょう。
登山中でも日焼け止めの塗り直しを忘れずに
日焼け止めは1回塗ったら1日中効果が続く…というものではありません。
汗や擦れで落ちることもあるので、登山中でも定期的に塗り直すようにしてください。目安は2~3時間に1回。
スプレータイプや固形スティックタイプの日焼け止めが登山におすすめだと言われるのも、塗り直しがしやすいためです。
鼻と頬骨の周辺は特に入念に塗ろう
強い紫外線にあたったときに、鼻や頬だけ焼けてしまったという経験をしたことがある方も多いはずです。
顔の中でも高い部分である鼻と頬骨周辺は特に紫外線ダメージを受けやすいので、塗りムラがないように、入念に日焼け止めを塗りましょう。また、目元も塗り忘れやすいため要注意です。
UV対策アイテムとの併用で効果アップ
日焼け止めは紫外線対策に有効なアイテムですが、その他のグッズと併用すればさらに紫外線ダメージを軽減できます。
登山に行く際には、サングラス・フェイスカバー・フェイスマスク・UVカット機能のある帽子・長袖シャツなどを活用して、日焼け対策をするのがおすすめ。
特に、目から入る紫外線は日焼け止めでは対策できません。最初に解説したように、紫外線は紫外線角膜炎・白内障・翼状片の原因となるため、サングラスで目を保護することも忘れないようにしてください。
登山中は山ガールも男性も日焼け止めスプレーが必須!アウトドアやレジャーの紫外線はしっかりと予防を
太陽光は人体に短期的・長期的な影響を多く与える危険な存在です。
特に良くも悪くも変化しやすい山の環境では紫外線の影響にさらされやすく、想像以上の強い紫外線を浴びかねません。時期に関わらず、登山中の直射日光には油断しないことが大切です。
ほとんどの日焼け止めは登山が終わったら石けんで洗い流せます。女性はもちろん、今まで登山中に日焼け止めを使っていなかった男性の方も、面倒がらずにUV対策をしっかりと行いましょう。
[1]参照:気象庁:UVインデックスとは
[2]参照:気象庁:標高と紫外線
[3]参照:気象庁:紫外線による健康影響
[4]参照:JSTAGE:紫外線による免疫制御
[5]参照:JSTAGE:皮膚科医が考えるアンチエイジング
[6]参照:JSTAGE:酸化ストレスと皮膚
[7]参照:気象庁:紫外線による影響を防ぐためには