初心者の方が登山に挑戦すると、自分の体力のなさに驚くのではないでしょうか?
周囲の登山経験者と比較して標準コースタイムが圧倒的に遅い、ペースが遅い、バテてしまう…など、トレーニング不足を実感する場面は多いと思います。
登山は下半身・上半身の筋力をくまなく使うだけでなく、高度な身体能力が必要とされるスポーツ。
ご紹介するトレーニング法を実践して、登山に必要な体力を身に着けましょう。
「マイペース登高能力テスト」で自分のレベルを知ろう
登山に向けた体力づくりに励むスタート地点として、まずは自分の体力レベルを知っておきましょう。
登山での体力レベルを知るためには、「マイペース登高能力テスト」に挑戦してみてください。
体力レベルを知る
マイペース登高能力テストとは?
「マイペース登高能力テスト」とは、鹿屋体育大学の山本教授が開発したテスト。
自分がどのくらいの体力を持ち、どのくらいのレベルの山に登れるかを、運動強度の単位である「メッツ」を基準にして算出します。
参考:マイペース登高能力テストについて|長野県山岳総合センター
マイペース登高能力テストのやり方
それでは、「マイペース登高能力テスト」に挑戦して、自分の保持している体力を算出していきましょう。
まずはテストを行う登山道選びから始めていきます。
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1単調な登りルートを選択する
テストで選ぶべき登山コースの条件は2つ。1つは「単調な登りが続いていること」、もう1つは「登りの距離が500m以上続いていること」です。
2つの条件にあう登山道であればどこでも構いません。
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21時間あたりの登高速度を求める
登山道を選んだら、1時間あたりの登高速度を求めていきます。
登高速度とは、1時間に登る高低差のこと。息が弾まない程度のペース配分で500m続く登山道を登り、登り切るまでにかかった時間と標高差を計算することで求められます。
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3メッツから体力の目安を算出する
求めた登高速度から、自分の体力レベルを算出してみましょう。
次のように自分の「メッツ」によって4つのランクにわけることができ、現在の体力の目安がわかるようになっています。
ランク | 登高能力 | メッツ |
---|---|---|
1 | 登高速度500m/h以上 | 8メッツ |
2 | 登高速度420m/h以上 | 7メッツ |
3 | 登高速度330m/h以上 | 6メッツ |
4 | 登高速度330m/h未満 | 6メッツ未満 |
1時間で500mの標高差を登れたとしたら、ランク1となります。
もし500mの標高差を登りきるまでに1時間半がかかったとしたら、登高速度は333mとなるためランク3です。
このように、500mの登山道を登りきった標高差とかかった時間から、体力を算出することができます。
初心者向け!登山でバテない体力づくりのポイント
それでは、登山に向けた体力づくりのために、効率の良い体力の付け方を覚えていきましょう。
日頃のトレーニング成果を最大限に得るためには、コツを押さえ、効率的に体力をつけていくことが大切です。
体力の付け方
持久力を高める「有酸素運動」
長時間に渡り登山道を歩くためには、何がなくとも持久力が必要です。
持久力を高めるためには、心肺機能と体力を高めるために有酸素運動を行いましょう。
少しずつでも毎日行うことが理想的ですが、運動不足気味な方は、過度の疲労を予防するため週に1回・30分程度から始めてください。
全身の筋肉を鍛える「筋トレ」
登山では下半身を中心に、全身の筋肉をくまなく使用します。
山を無事に登りきるためにも、登山の疲れを翌日に残さないためにも、日々の筋力トレーニングは欠かせません。
筋肉は使わないとすぐに衰えて弱くなってしまうため、定期的に行い、一定の筋肉量と筋力を保つことが大切です。
さらにブレンダーボトルなどのシェイカーでプロテイン摂取が効果的です。
バランス感覚を身につける「ヨガ」
浮石を踏んでしまったときや、下山時に必要になる身体能力がバランス感覚です。
バランス感覚が低いと無駄な力が入ってしまい、登山後の筋肉痛に悩まされる確率も高まります。
バランス感覚を身につけるためには、ヨガのポーズを実践することが効果的です。
筋肉を柔軟にする「ストレッチ」
ストレッチといえばリラクゼーションやクールダウンのイメージがありますが、筋肉を柔軟にするための運動としても効果を発揮します。
ストレッチをすることで筋肉が動きやすくなるため、日頃のトレーニングや登山の前後に実践していきましょう。
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登山の体力づくりには「目的意識」
登山の体力づくりを続けるためには、「目的意識」が重要です。
目的意識なくトレーニングを続けてしまうと、どこをゴールにするべきなのかわからなくなり、続けることが億劫になってしまうことも。
「同行者の◯◯さんと同じコースタイムで登る」「◯◯山を3時間で登り切る」など、明確な目標を立ててゴールを設定してください。
登山の体力づくりに効果的!持久力を高める日頃からのトレーニング
それでは、いよいよ実際のトレーニング方法の解説をしていきます。
まずは登山の体力づくりの基本とも言える、持久力を高めるためのトレーニング法です。
気温や湿度の高い夏山では特に体力を消耗しがちとなるため、持久力はしっかりと高めておきましょう。
トレーニング法
ウォーキング
ウォーキングは最も手軽な有酸素運動ですが、毎日継続的に行うことで持久力アップやダイエット効果が期待できます。
背筋を伸ばして、できる限り大きな歩幅で歩くと効果的。
より負荷を大きくしたい人は、足首に巻くタイプの重りをつける、階段が多いところを歩くなどの工夫をしてください。
ジョギング・ランニング
ウォーキングでは物足りないという方は、ジョギングやランニングで体力をつけていきましょう。
ジョギングは走りながら話せる程度、ランニングは息切れがする程度と、運動強度や心拍数によって区分されています。
ご自身に体力にあわせて、無理のないスピードで走ることが大切です。
山を登るための筋肉をつける!自宅でできる筋トレメニュー
次は筋力を高めるための筋トレメニューです。登山では下半身と体幹の筋力が特に必要とされるため、これらを鍛えられるスクワットとプランクに絞ってご紹介していきます。
下半身や体幹の筋力がついてきたら、腹筋・背筋・上腕二頭筋なども強化していきましょう。
筋肉強化メニュー
【臀筋・脚】スクワット
下半身の筋肉を鍛えるための基本的な運動であるスクワット。
お尻の大殿筋や太ももの大腿四頭筋を鍛えるために役立ちます。
効果を実感するためのポイントは、常に良い姿勢をキープし、頭が両つま先よりも前に出ないようにすることです。
両腕を前に伸ばし、足を肩幅程度に開いたら、そのままお尻を突き出すようにして両膝を曲げながらゆっくりと腰を落としていきます。
太ももが地面と平行になるまで腰を落としたら、ゆっくりと両膝を伸ばして元の姿勢に戻りましょう。
もし辛くて続けられないようなら、両膝が直角になった時点で元の姿勢に戻す「ハーフスクワット」でも効果は期待できます。
【体幹・脊柱起立筋】プランク
プランクは、背中の広背筋、腰の脊柱起立筋、お腹の腹直筋・腹斜筋・腹横筋、お尻の大殿筋と、幅広い部位を鍛えられる良質な筋トレ方法です。
床に両肘をついて、両足をつま先立ちにし、体が一直線になるように体制をキープします。
特に動きのないエクササイズですが、1分間キープしようとするとかなり効いていることがわかると思います。
あまりに辛ければ30秒間1セットで終了し、少しずつ秒数を増やしていくようにしてください。
キープしている間は自然な呼吸で酸素を取り入れることをお忘れなく。
下り時のバランス感覚を確保!おすすめのヨガポーズ
日常生活の中でバランス感覚を鍛えることは難しいですが、ヨガのポーズなら体力が低い人でも自宅で気軽に取り組めます。
2つのポーズをご紹介しますので、毎日眠る前などに実践していきましょう。
ヨガのポーズ
木のポーズ
バランス感覚を鍛えるための基本ポーズです。まずは背筋を伸ばして直立し、視線を真正面の一点に集中させてください。
右の足裏を左内ももの付け根につけて、両手は合唱したまま真上に伸ばします。
30秒間キープしたら直立の姿勢に戻り、反対側も同じように行ってください。
より高い効果を得るためには、足の裏をなるべく足の付け根の方に近づけることがポイントです。
ダイアゴナルクロス
登山に必要なバランス感覚と体幹力の両方を身につけられるポーズです。
両手と両膝を床について四つん這いになり、左手と右足を床から離して、体と一直線になるように伸ばしてください。
10秒間キープしたら四つん這い状態に戻り、反対側も同じようにし、各2セット行いましょう。
両手両足を伸ばしたときに、手のひらは内側の方へ向け、足首は90°になるように曲げることがポイントです。
効率的に登山の体力づくりをするための2つの方法
より短期間で、より効率的な体力づくりをしていくなら、ワンランク上の運動も取り入れていきましょう。
プロ登山家が執筆したトレーニング本の中で解説されている、2つの方法をご紹介します。
登山の体力づくり
筋力&持久力を高めるサーキットトレーニング
サーキットトレーニングとは、複数の運動を短い休息時間で組み合わせ、連続して行っていくトレーニングのことです。
一度のトレーニングで筋力と持久力を高められるため、運動のために時間が割けないという方はぜひ挑戦してみてください。
サーキットトレーニングのメニューにはさまざまな組み合わせが考えられますが、スクワット・プランク・腹筋運動・踏み台昇降を休まず連続で行うなどが該当します。
心肺機能&筋力を同時に鍛える低山トレーニング
心肺機能と筋力を同時に鍛えるためには、低山トレーニングが効果的ですが、低山トレーニングは特別な方法ではありません。
長野で人気の山や富士山など「本番」と考えられる高山に挑戦する前に、低山に登って体力をつけるという登山好きにとっては楽しいトレーニング法。
バックパックに詰める荷物の重量を高山登山と同じにしてみたり、普段の登山よりもペースを上げて歩いてみたりと、負荷を大きくすることで体力づくりを行っていきます。
低山とは言え、途中でエネルギー補給・水分補給も必要になり、正しい山道の歩き方の練習もできるなど、登山経験も積める実践的な方法です。
日頃からのトレーニングで登山でのバテを予防
「山頂に着く前にバテてしまう」「登山で登りがきつい」という人は、今回ご紹介した一連のトレーニングを定期的に行ってみてください。
ある程度続けた頃に山に登ると、今までよりも体が軽くなっているように感じられるかもしれません。
有酸素運動・筋トレ・ヨガ・ストレッチというサイクルを継続的に続けていけば、確実に山登りのための体力は身についていきます。
加えて、脚力をつけるためにマラソンなども行えば準備万端です。ぜひ夏山シーズンに向けて、今からトレーニングを始めていきましょう。
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