登山で夜間行動をするときに持っていないと困るのが登山用ヘッドライトです。
本格的な登山道で夜間の行動をするときは、暗闇であることが多く、付けていないと怪我の危険性が一気に高まります。
そこでこちらの記事では、ヘッドライトの選び方や効果的な使い方を解説してから、2019年版のおすすめヘッドライトランキングをご紹介します。
夜の山を初体験する方は、参考にしながら用途にあったヘッドライトを選んでください。
「ヘッデン」の意味は「ヘッドライト」のこと
「ヘッデン」は登山初心者の方には耳馴染みがない言葉ですが、「ヘッデン」は「ヘッドライト」のことを意味する言葉です。
ちなみに日本語の造語なので、海外では通じません。
「ヘッデン」はライトをヘッドバンドで頭に装着して、夜間でも両手を自由にできる装備のことです。
夜間の行動中に片手が塞がっていては不自由で危ないので、登山者から高い人気を誇ります。
登山用ヘッドライトの選ぶときのポイント
夜間の行動に欠かせない登山用ヘッドライトを選ぶときには、いくつかのポイントがあります。
商品によって明るさや照射距離、バッテリーのタイプなどが異なるため、機能性をよく比較して、慎重に選ばなければなりません。
選ぶポイント
まずは明るさを確認しよう
ヘッドライトの明るさは「ルーメン」と「照射距離」の2つの組み合わせによって決まります。
ただし、明るければ明るいほど良いというわけではなく、使い方によって適切な明るさが決まります。
ルーメン
明るさは「ルーメン」という単位で表されます。
数値が大きいほど明るさが増しますが、バッテリーの消耗量も多くなるため、明るさとバッテリー消耗量のバランスを考えることが大切です。
通常の登山なら100ルーメン、日帰りのハイキングであれば30~50ルーメンのものを選びましょう。
照射距離
照射距離は光を照射できる距離のことです。
商品によって照射距離は異なりますが、モードを切り替えることで光を集中させ、照射距離を伸ばせるヘッドライトもあります。
ルーメンと同じように、照射距離が長くなるほどバッテリーの消耗量が多くなるため気をつけてください。
バッテリーは電池式・充電式の2種類
バッテリーは電池式と充電式の2種類がありますが、両方とも利用できる商品も存在します。
バッテリーの種類によって使い勝手や充電切れのときの対応が変わるので注意して選びましょう。
電池式
電池式のバッテリーは、乾電池をエネルギー源として稼働します。
一般的に広く使われているアルカリ電池のほか、充電して繰り返し使えるニッケル水素電池、寒冷地でもパワーを発揮できるリチウム電池などが使え、用途によって使用電池を変えられることが特徴です。
充電式
充電式のバッテリーは事前に充電しておけば、乾電池を使用しなくてもライトを照射できます。
USB接続で直接充電できるものもあり、モバイルバッテリーを持参すれば充電切れに備えることも可能です。
バッテリーのタイプを選ぶ
バッテリータイプには「一体型」と「分離式」があり、それぞれのメリットがあります。用途に応じて選びましょう。
一体型
バッテリーボックスがヘッドライトと一体になっているタイプです。ケーブルなどで繋ぐ必要もなく、シンプルで扱いやすく軽量ですが、寒冷地ではバッテリーの消耗が激しくなります。
分離式
バッテリーボックスとヘッドライトが分離しているタイプです。
一体型よりも重量があること、ケーブルが必要になることなどがデメリットですが、バッテリーボックスをポケットに入れれば寒冷地でのバッテリー消耗を抑えられます。
電池寿命を確認する
万が一登山やナイトハイクでヘッドライトが壊れた時のバックアップに買ってみた。
とにかく軽いし点灯しなければ電池を入れたまま10年間保存可能なのがすごい
重量27g 防水等級IP67だそうです。#ブラックダイヤモンド #フレアー pic.twitter.com/JHLWUbmbGH— ちぃ坊 (@chibou39) April 4, 2021
各製品にはメーカーによる電池寿命が記載されていますが、ヘッドライトは使い始めてから数時間で明るさのレベルが一気に落ちてしまいます。
そのため、目安として確認する必要はありますが、実際には記載されている時間よりも短くなることを覚えておきましょう。
光量・光色を切り替えられること
光量や光色が切り替えられる機能がついていれば、行動中だけでなく、テントの中や就寝時にも便利です。
段階的に光量が調整できれば、利用シーンに応じて最適な明るさを得られます。
明るさのない赤色LEDに切り替えられれば、テントの中で照らしても周囲の人に迷惑をかけず、緊急用の合図としても活用可能です。
防水機能がついている
山の天気は変わりやすいので、いざというときのために、防水機能がついているものを選びましょう。
特に雨雲が近づくと暗くなるのでヘッドライトの出番ですが、防水機能がついていなければ、雨が降ってきた際に使えません。
雨天で必要になるケースも多く、防水機能が搭載されていることは欠かせません。
帽子の下に付けやすい
雨や雪が降っているときにヘッドライトを使うと、光が乱反射して非常に見にくいものです。
そのようなときに帽子のツバで雨を防げれば、乱反射を抑えられるようになり視界が良好になります。
軽量なヘッドライトを選ぶ
ヘッドライトは日中や晴天時にはザックの中に入れておくものです。
少しでもザックを軽くするために、軽量なモデルを選ぶようにしましょう。
軽量であれば、頭に付けたときの違和感がなく快適性も高まります。
登山用ヘッドライトの付け方をマスターしよう
登山用ヘッドライトを付けるときは、事前にヘッドバンドの長さを調整しておきましょう。そして必要になったら、ヘッドバンドを頭に巻くだけです。
頭に装着せずに首から下げるという付け方もあります。
登山での行動中は下を向いているため、光が下に当たっても問題ありません。
首から下げておくと他人の顔に光が当たらなくなり、迷惑にならないというメリットもあります。
登山でのヘッドライトの効果的な使い方
ヘッドライトの効果的な使い方を知っておくと、様々な場面で臨機応変に、便利に使いこなせます。
ここでは5つの使い方を取り上げますが、いざというときに適切な使い方ができるように覚えておいてください。
効果的な使い方
行動中はワイドビームで広範囲を照射
行動中は「ワイドビーム」や「近距離モード」と呼ばれる設定にしておきましょう。
光を集中させることなく、広範囲を明るく照射するモードです。
光が拡散して柔らかくなり、他人に迷惑をかけることもありません。ただし、光が拡散するため照度は低下します。
遠くを見たいときはスポットビームで光を集中
ワイドビームで照らせない遠距離を確認するときは、「スポットビーム」や「遠距離モード」に設定してください。
光を狭い範囲に集中させることで、照度が増し、照射距離を伸ばせるようになります。
夜間登山で周囲に人がいない状況に適しますが、バッテリーの消耗は激しいため長時間に使用は考えましょう。
ミックスタイプはどんな状況でも使える
「ミックス」「デュアルビーム」と呼ばれる設定は、ワイドビームとスポットビームがミックスされたタイプです。
手動・自動で切り替えや調整が行われます。
状況を問わず使用できて便利ですが、ミックスタイプが搭載されたヘッドライトは価格が高くなりがちです。
手元を照らすときは赤色LEDで
手元を照らすときやテントの中で明るさがほしいときは、赤色LEDにしましょう。
瞳孔を刺激することがなく目に優しいので、周囲に人がいても迷惑になりません。
また、バッテリーの消耗量が少なく、長時間照射したい場合にも役立ちます。ただし、他のモードと比べて明るさがありません。
光量は使用状況や歩く順番によって切り替えよう
集団での行動中にヘッドライトを使うのであれば、使用状況や列の順番によって光量を切り替えましょう。
列の先頭を歩くならある程度の明るさと照射範囲が必要となりますが、2番目以降であれば先頭の人の光で十分なので、光量は抑えた方が視界が良くなります。
そして、キャンプ場での夜間行動中は光量を下げることが基本です。
他人の顔やテントに強い光を照射することは、迷惑ですし失礼にあたります。
また、テント内で光量を上げると、中の様子が丸見えになるので注意しましょう。
【2021年版】登山用ヘッドライトおすすめランキング
登山用ヘッドライトの選び方や使い方を解説したところで、それらの知識を踏まえて、おすすめのヘッドライトランキングを見ていきましょう。
2021年度版の最新ランキングでご紹介します。
ヘッドライトランキング
1位:ペツル アクティックコア
450ルーメンという明るさとIP X4の防水機能が搭載されていながら、75gと軽量であり、8,000円(税抜)で購入可能なコスパの高いヘッドライトです。
乾電池とバッテリーへの充電の両方に対応しており、好みに合わせて使えます。
ワイドビームとミックスの2種類のモードと赤色LEDが搭載されており、照射レベルは弱・中・強の3種類から選べます。使用電池は単四乾電池3本です。
2位:ブラックダイヤモンド ヘッドライトスポット
ブラックダイヤモンドのヘッドライトの中でも、特に機能性が高いのが「スポット」です。
防水性能はIP X8と強力で、例え水の中に落としたとしても持ち堪えます。
重量は88gと軽量で、ライト横をタップするだけで簡単に光量を切り替えられるなど使い勝手に優れたモデルです。
サブLEDを含めると明るさは最大200ルーメンとなり、150ルーメンのスポットビームと赤色LEDも利用可能です。
バッテリーは単四乾電池3本が必要で、電池寿命は200時間と長時間稼働します。
3位:ペツル ティカ
明るさ300ルーメン、IP X4の防水性能、重量は82gと、登山で使うなら十分な性能を兼ね備えたモデルです。
蓄光リフレクターで暗闇でヘッドライトを探す手間を省けます。
ビームパターンはワイドのみで照射レベルは弱・中・強の3種類が利用でき、赤色LEDは点灯と点滅で切り替えができます。
電池式・充電式の両方に対応したバッテリーを搭載しており、使用電池は単四乾電池3本です。
4位:ジェントス ヘッドウォーズ HW-V233D
「ヘッドウォーズ」シリーズの中でも登山用としておすすめなのは「HW-V233D」です。
重量は192gと少々重いですが、明るさは250ルーメンあり、点灯時間はHighモードで110時間とシリーズ中で最も長くなっています。
使えるのはワイドビームのみですが、リフレクターという反射板を搭載しているため長距離の照射も可能です。
さらに、後部認識灯によって後方からも視認しやすい工夫が施されています。単三乾電池3本が必要です。
5位:モンベル EXパワーヘッドランプ
最大の明るさが700ルーメンにも達する、高出力LEDライト搭載のヘッドライトです。
ダイヤルを回して30~700ルーメン間で調整できるので、状況に応じて適切な光量を得られます。
バッテリーは電池式と充電式の両方に対応しており、バッテリーパックが分離することで寒冷地でも長時間に利用が可能です。
ただし、赤色LEDの搭載はなく、ビームパターンを選択することもできません。
IP X6と防水性能に優れますが、重量は電池込みで263gと重く、軽登山よりも雪山登山などの過酷な状況下で活躍するモデルだと言えます。使用電池は単三乾電池4本です。
100均・楽天でも購入可能!コスパの高さを求めるならコレ!
アウトドアメーカーの高性能ヘッドライトをご紹介しましたが、コスパの高いものを求めるのであれば、100均や楽天を利用するのもひとつの方法です。
当然、性能面では劣りますが、1回きりの登山で使う場合や予備として持っていくために役立ちます。
コスパの高いヘッデン
ダイソー ヘッドライト
ダイソーのヘッドライトは200円で購入可能です。連続使用の目安は7~8時間、ライトを回すと点灯・消灯というシンプルな操作性で、初心者の方でもすぐに使い始められます。
使用電池はリチウムコイン電池1個で、電池込みでも36gと超軽量です。
ただし、照度は10ルーメン以下だと思われるので、本格的な登山を行うときには不安が残ります。防水性能もなく、日帰りの低山登山やハイキングで、緊急用・予備として持っていくのが無難です。
セリア ヘッドライト
セリアでは100円でヘッドライトが購入できます。
ライトの角度は180°調整することができ、ネジを締めれば希望する角度での固定も可能です。
使用電池は単四電池3本で、電池込みの重量は約50gとなっています。
スイッチはライトの下部についており、点灯・消灯だけのシンプルな性能です。
照度はダイソーのヘッドライトよりも断然高く、100均商品でありながら、低山ハイキングなどで使える品質です。
防水性はありませんが、コスパの高さとある程度の明るさだけを求めるなら十分だと言えます。
Nikatto LEDヘッドランプ
楽天で購入できる「Nikatto LEDヘッドランプ」は、1,400円前後ながら最大の明るさは200ルーメンあり、照射レベルは弱・中・強の3種類から選べます。
赤色LEDの強・点滅の切り替えも可能で、さらにIP X6の防水性能があり、電池込みの重量も約70gとストレスのない軽さとなっています。使用電池は単四乾電池3本です。
登山に手持ちライトがあると利便性アップ
テント泊をするなら、ヘッドライトと手持ちライト(LED懐中電灯)を併用すればさらに利便性が高まります。
ヘッドライトは照射する場所を微調整するのが難しいので、コントロールしやすく強力な手持ちライト(LED懐中電灯)を持っていくと便利です。
行動中は両手がフリーになるヘッドライトを使い、キャンプ場やテントの中では手持ちライトを使う、と使い分ければ、より快適にアウトドアを楽しめるようになります。
手持ちライトで利便性アップ
LED懐中電灯の選び方
登山などのアウトドアで便利な懐中電灯は、LEDライトが一般的。
防水機能や小型タイプなどメーカーによって様々なライトが販売されています。
特に防水仕様や軽量タイプ、ハイビームとロービームを切り替えできるタイプだと活躍の場が広がって使い勝手がいいですね。
LED懐中電灯に必要な明るさは?
手に持って使う懐中電灯の明るさは、ヘッドライトと同様に100ルーメンは欲しいところ。
200ルーメンあれば、50m先も見えるので安心感が増します。
またLED懐中電灯の点灯時間ですが、安価なモデルは「消えるまで」の点灯時間としているのに対して、高価なモデルでは「通常使用できる50ルーメンまで」としているケースが多いです。
まとめ
ヘッドライトは夜間に行動するときや、雨雲で周囲が暗くなったとき、テントの中で手元を照らすために便利なアイテムです。
両手が自由になるので行動中でも安全性が高まり、富士登山などでは必需品だと言えます。
各メーカー・商品ごとに機能性が異なりますが、ヘッドライトを選ぶときにも、使うときにも、最も大切なのは「用途や状況に合わせる」ということです。
ヘッドライトを使う状況を考えれば、おのずと選ぶべき製品や設定するべきモードがわかってきます。
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