登山をより快適に、より楽しいものにするためには、正しい「歩き方」を知っておくことが重要です。
登山の歩き方講習会が開催されているほどですから、その重要性は計り知れません。
そこでこちらの記事では、基本的な登山の歩き方や、疲れにくい歩き方のコツなどをご紹介します。
状況別で登山の歩き方と注意するべきポイントをまとめたので、初心者の方はぜひ参考にして、もっと楽しめるようにしましょう。
登山では歩き方のコツを知ることがポイント
山登りで必要以上に疲れることなく、アウトドア気分を満喫するためには、山の歩き方のコツを知ることがポイントです。
間違った歩き方をしていると、足腰に負担がかかり、疲れて歩けなくなってしまったり、怪我をしてしまったりすることもあります。
特に登山初心者の方は山での歩行技術のマスターを最優先に考えましょう。いつもの歩き方では、山頂まで体力を残しつつ登り切ることは困難です。
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【登山での歩き方】平地を歩くときの基本を覚えよう
まずは、登山での歩き方の基本となる平地での歩き方です。
登りでも下りでもない平地での歩き方を、まず基本としてマスターしておきましょう。山を歩くときの基本となる姿勢も解説します。
平地での歩き方
登山の基本姿勢
トレッキングの基本姿勢は、頭から腰を真っ直ぐに保つことです。
山を登るときに猫背になってしまう人がいますが、猫背になるとザックを肩ではなく筋肉で支えることになり、疲れやすくなります。
平地では姿勢良く、反動つけずに脚の筋肉を使って登るようにしてください。
まずは基本の歩き方をマスター
登山での歩き方の基本は、靴底を地面にそのままつけるように歩くことです。
初心者の方の中には足先から着地する人もいますが、平地ではかかとから着地するようにしましょう。
そして体の重心は、前に伸ばした脚と後ろにある脚の中間くらいに置くようにするのがベストです。
【登山での歩き方】登りで疲れにくくするためのコツ
平地での歩き方の基本を覚えたら、次は勾配がある登りでの歩き方のコツを解説します。
基本となる歩き方と、急勾配の坂の歩き方、階段を上るときの歩き方はそれぞれポイントが違うため、それぞれのコツをマスターしましょう。
登りで疲れにくくするコツ
基本の登りの歩き方
登りに大切なことは、負荷がかかりがちな太ももに疲労を蓄積させないことです。平地よりも歩幅を小さくし、足裏を地面に対して平行に着地させます。
平地ではかかとから着地しましたが、登りのときはペタッと靴底を地面につけるようにしましょう。
そして、前に出す脚を反動で蹴り出さないようにして、引き上げるように登ります。周囲から見たときに、靴裏が見えない歩き方が理想です。
急な坂を登るときのポイント
急勾配の坂を登るときのポイントは、基本の歩き方に加え、つま先を少し外側に向けて歩くようにすることです。
つま先を真っ直ぐ前に向けると、足首の関節にかかる負担が大きくなってしまいます。
そして、前方の足に重心を乗せたまま反対の足を前に出し、前に出した足が着地したらそちらに重心を移動させてください。
段差を上るときのポイント
階段などの段差があるところを上るときは、段差が小さなところを利用するようにしましょう。
段差が大きなところを歩くと疲れやすくなるので、なるべく低いところを上るようにします。
もし低いところが見つからなければ、できるだけ段差に近づき、靴底全体を地面につけるようにして上り、一段上ったら、上げた方の膝に両手を置いて体重を支えながら反対の足を上げて上ります。
【登山での歩き方】下りで安全に歩くためのコツ
登りの歩き方の次は、安全に下るための歩き方のコツをマスターしましょう。
下りのときはバランスが崩れがちで、滑ったり転倒したりする危険性も高まります。疲労を軽減させるだけでなく、怪我の予防のためにも正しい歩き方をすることが大切です。
下りで安全に歩くコツ
基本の下りの歩き方
歩幅を小さくすることと、足裏を平行に着地させること、姿勢を真っ直ぐに保つことは変わりません。
下りでは重心の移動がポイントとなり、後ろに残した足の方に重心を置きながら反対側を前に出しますが、前に出した足が完全に着地したら重心を前に移動させます。
急な坂を下るときのポイント
急な下り坂を下るときは、足をゆっくりと着地させ、足裏が地面を完全に捉えられるように注意します。
上半身が前に倒れないように気をつけながら、腰を低い位置に保ち、ふくらはぎの筋肉を意識しながら体のバランスを取ります。
重心の置き方は基本と同じですが、勾配の緩やかな下り坂のときよりも確実に地面を捉え、ゆっくりと進むことがコツです。
段差を下りるときのポイント
段差を下りるときは、体を横向きにすることがポイントとなります。できるだけ段差の側に近づいて横向きになり、上半身を少しだけ前に傾けて、残る方の脚の膝に両手をついたら反対側の足を段差の下に下ろしましょう。
膝についた両手に力を入れて、体を支えるようにしながら下りことで転倒の危険を回避できます。
登山で疲れにくい歩き方8つのポイント
平地、登り、下りでの基本の歩き方を解説しましたが、疲れないようにするためには、歩き方の他にも知っておくべきポイントがあります。
体への負担を軽減させるための8つのポイントを押さえ、快適に登山を楽しんでください。
疲れにくい歩き方
ペースをつかむまではゆっくりと歩く
最初は体力があるので早く進んでしまいがちですが、登山は最初こそゆっくりと歩くべきです。
山歩きのペースを掴むまでは、遅すぎると感じるほどのスピードで登ります。目安としては、20~30分間です。
30分ほど経つと呼吸が安定してくるので、登山開始から30分経っても余裕があるようであれば、自分のペースで歩いても構いません。
呼吸と心拍数に注意する
登山のときに体への負荷の指標となるものが、「呼吸」と「心拍数」です。息切れしているようであればペースが早すぎることの目安となり、意識しないほど自然に呼吸ができる状態が理想となります。
心拍数が上がってきたら、息を吸うことよりも吐くことを意識してください。息を深く吐き出せば、自然と息を吸うこともできるようになります。
トレッキングポールやサポーターを活用する
トレッキングポールやサポーターは、登山のときの筋肉や関節への負荷を軽減してくれるため、上手に活用することで疲労軽減・ケガ予防に効果的です。
トレッキングポールというのは登山のときに使う杖のようなもので、脚にかかる負担を腕へと分散させるために役立ち、サポーターは筋肉や膝・腰にかかる負担を軽減させ、むくみ予防にも効果を発揮してくれます。
腕組みすると安定感が増す
登りのときは腕を組むと上半身の安定感が増し、疲れにくくなります。
上半身が安定することによってザックによる負荷を軽減させられるため、特にテント泊などでザックの重量が重いときに効果的です。
反対に下りのときは、後ろで腕を組むようにしましょう。腰の後ろあたりで腕組みをすると腕が揺れず、上半身が安定します。
歩幅はなるべく小さくする
登りのときに特に重要ですが、平地でも、下りでも歩幅は小さくすることをおすすめします。歩幅が大きいということは、大きな力を使う「速筋」という筋肉を使う歩き方です。
それに引き換え、小さな歩幅では持久力のある「遅筋」が使われるため、長時間に渡り筋肉を使い続けられるようになります。
経験者の人を見つけて、どのくらいの歩幅で歩いているか観察し、参考にすることがおすすめです。
登り・下りは斜めに歩く
勾配のある登山道を歩くときは、斜めに向かってジグザグに歩くようにしましょう。
斜めに歩くと総合的な歩行距離は長くなりますが、真っ直ぐ歩くときと比べて地面の勾配が緩やかになります。
短距離の急な坂道を進むよりも、長距離の平地を進むほうが楽なように、ジグザグに斜め歩きをすることで筋肉への負荷を減らせるようになります。
お尻の筋肉を使う
お尻の筋肉を使うようにすることも、持久力のある「遅筋」を使うことにつながります。
お尻にある「大殿筋」という大きな筋肉には遅筋線維が多く存在し、持久力に優れた筋肉です。そのため、お尻の筋肉を使うように意識すると、登山時の持久力を高められます。
意識的に大殿筋を使うことは難しいですが、歩いているときにお尻に触ってみると、筋肉の使われ方がわかります。特に筋力を使う登りのときは、大殿筋の動きを意識するべきです。
ぬかるみや濡れたところは足の置き方に注意
ぬかるみを歩くときは、足の置き方に注意して歩くと安全です。
急な坂を上るときと同じように、つま先を外側に向けて歩くと滑りにくくなります。ぬかるみを歩くときは恐る恐る歩く方が多いですが、実はそのまま通常通りに歩いたほうが転倒の危険性が低くなります。
また、避けようとして飛び越えることは厳禁です。飛び越えようとすると、着地のときに滑って転倒してしまうリスクが高まるだけでなく、捻挫をする可能性も高くなります。
登山中の疲れを回復するには「休憩」をする
正しい歩き方をしても、疲れにくい歩き方のポイントを実践しても、山を登っているとやはり疲れてきます。
疲労が蓄積したまま登ると歩けなくなる恐れもあるため、登山中は適度に休憩を取り、疲れを癒やすことも大切です。
疲れを回復する
休憩できる場所は事前に把握する
登山計画を立てるときに、休憩できる場所も事前に把握しておくようにしてください。
休憩を取るタイミングは、1時間に1回、10分程度が目安となります。
頻繁に休憩を取ると登山ペースに慣れた体がリセットされてしまいますが、長時間に渡り歩き続けると、エネルギーが不足してしまいます。
1時間に1回の休憩を取れるように、自分の歩くペースを考えながら、休憩するポイントを決めておくことをおすすめします。
水分と行動食は必ず持っていく
登山のときの必需品として、水分と行動食は必ず持っていくようにしましょう。
山頂についてから食事を摂る計画であっても、休憩のときに行動食を食べておかないとエネルギーが不足して疲れやすくなります。
行動食としておすすめの食べ物は、クッキーや菓子パン、チョコレートなどの糖分、おにぎりやドライフルーツなどの炭水化物ですが、手軽さを重視するならスポーツドリンクやゼリードリンクでも構いません。
服装や靴によって疲れやすさは変わる?
登山の疲れやすさは、歩き方や休憩の仕方だけでなく、服装や靴により変わることをご存知でしょうか。
登山に適した服装をすること、正しく使うことで、登山ウェアやアイテムの性能を最大限に引き出せるためです。
登山に適した服装
登山靴は正しく着用する
登山靴を正しく着用することは、正しい歩き方をマスターすることと同じくらい大切です。まずはサイズのあったフィット感のある登山靴を選び、靴にかかとが密着するように履きます。
そして、足にフィットするように靴紐を締めていきますが、登りと下りで締め方を変えるとさらに効果的です。
登りのときは緩めに結び、下りのときはしっかりと締めるようにします。靴紐が引っかかって解けないように、ズボンの裾で靴の上部を覆うこともポイントです。
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登山ウェアにはそれぞれ優れた機能性が備わっています。
速乾性と吸湿性に優れたウェアを着ることで、汗による不快感や蒸れを防ぐことができ、防風性と防寒性に優れたウェアは寒さによる体力の消耗を抑えてくれます。
多くのエネルギーを消費する登山では、必要以上に体力を消耗させないための工夫が必要です。
登山ウェアを上手に活用すれば、体力を温存することができ、疲れにくくなります。
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正しい歩き方のポイントや疲れないためのコツを解説しましたが、登山初心者の方が最初から全てを実行することは難しいものです。
しかし、意識せずとも感覚的に体で覚えてしまえば、自然とできるようになります。そのために、登山前に歩き方の練習やトレーニングをしておくと安心です。
屋外の坂を使って練習をしても良いですが、踏み台があれば動画を見ながら屋内で練習しても構いません。
以前放送された「ためしてガッテン」を見た方は、そこで紹介されていた山の歩き方も参考にしてください。
もし余裕があれば、スクワットなどの運動で足やお尻の筋肉を鍛えておくと、さらに登山時の疲れを軽減させられます。
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まとめ
登山は脚の筋力を多く使うため、正しい歩き方を知らないとすぐに疲れて動けなくなってしまいます。平地・登り・下りとそれぞれの歩き方をマスターして、基本的な歩き方ができるようにしておきましょう。
また、腕を組む、歩幅を小さくするなどの技術を知っておけば、より快適に登山を楽しめるようになります。トレッキングポールやサポーターも上手に活用してください。
登山の楽しみは山を登ることだけではありません。周辺の自然を楽しんだり、美しい眺望を眺めたりすることも楽しみのひとつです。
体力がなくなって自然や景色を楽しむ余裕がないという状態にならないように、トレーニングや練習も取り入れ、登山を満喫するための準備をしましょう。
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