登山経験のある人であれば、ひとつは「アウター」を持っていると思いますが、あなたの持っているアウターは予定している登山に適したものでしょうか?
実は登山用のアウターは、季節や用途によって選ぶべき種類が変わってきます。
夏と冬で同じアウターを使っていては、山の過酷な環境に対応できなくなるリスクも。
アウター選びの正しい知識を覚えて、登りたい山に適した装備を整えていきましょう。
安いのでいい?アウター選びで重視するべき5つのポイント
山という過酷な環境に耐えうるためには、登山に必要な機能性を備えたアウターを選ぶことが大切。
アウターの種類によって見るべきポイントは違いますが、主に次の5項目を重視して選ぶことをおすすめします。
アウターの選び方
最も重視するべきは防水透湿性能
登山のアウターに最も欠かせない機能は「防水透湿性」。
雨など外側からの水分を内側に通さず、汗など内側から発生した水分を上手に逃がす性能がなければ、体を冷やしてしまい、低体温症を引き起こしやすくなるため注意しましょう。
雪山であっても、登山をしていれば大量に汗をかくことになるため、防水透湿性は必ずなくてはならない機能です。
耐摩耗性の高い製品を選ぼう
登山用のアウターならば、防水透湿性だけでなく耐摩耗性も重視したいところ。
ゴツゴツとした岩や尖った木の枝など、装備を傷つけるものが多い山の環境では、耐摩耗性の低いアウターはすぐに使えなくなってしまいます。
機能性が高く丈夫であることをポイントとしてアウターを選びましょう。
表面に使われている生地もチェック
防水透湿性・耐摩耗性を重視する上で必要なことは、表面に使われている生地をチェックすること。
登山用のアウターとして最も適している素材は「ゴアテックス」という優れた防水透湿性を誇る生地ですが、価格が高いことが唯一の難点です。
ただし、最近は各メーカーでゴアテックス素材に近い機能性を持つ安価な生地が活用されているため、「Ret(透湿性能)10」以下の生地であればゴアテックスジャケットでなくても問題ありません。
ベンチレーションの位置を確認する
「ベンチレーション」とは、アウターの通気する部分のことです。
汗をかきやすい場所にベンチレーションがついていれば、より効率的に汗を逃がすことができて汗冷え防止に効果的。
例えば、脇の下から手首までジッパータイプのベンチレーションがついていれば、脇の汗を逃すために役立ちます。
レイヤー数でアウターの特徴を把握する
「レイヤー数」とは、重ねてある生地の層の数です。
防水性能を重視するなら、防水フィルムと生地の2つの層でできている「2レイヤー」を、防水性に加えて防寒性も重視するなら、更に生地を重ねた「3レイヤー」のアウターを選んでください。
レイヤー数が多くなるほど性能は増しますが、その分、重量が重くなることにも注意が必要です。
登山用アウターは季節や用途に応じて使い分けよう
登山用アウターの選び方を確認すると、登る山によって必要なアウターが変わることがわかります。
アウターは季節や用途に応じて必要な機能性を見極め、使い分けることが大切。そのため、登山用アウターは次のように数種類が用意されています。
アウターの種類
冬の雪山に行くなら「ハードシェル」
冬の登山用ハードシェル買いましたツイ用に写メ撮っとこ〜(1枚目)
ハンガーないからヒロ様に着といてもーらお・・・ん?かっこいい・・・(2枚目) pic.twitter.com/32UTOKaU1V
— りっか🌈🍎 (@RiccaCos) March 15, 2019
最も過酷だと考えられる冬の雪山で活躍するアウターは「ハードシェル」という種類のもの。
耐摩耗性が高いことはもちろん、防水ファスナーが使われているなど防水透湿性にも優れており、鼻下まで覆るフードがついているなど防水性にも隙がありません。
アウターの中で最も価格が高いタイプですが、機能性も最も高くなっています。
突然の雨に備えるなら「ソフトシェル」
突然の雨に備えた登山用アウターを選ぶなら、「ソフトシェル」という種類がおすすめ。
ソフトシェルはハードシェルよりもストレッチ性が高く、生地が柔らかいため運動性をキープできることが特徴です。
防風性と撥水性を備えているため、多少の雨や寒さであればソフトシェルでも十分に防げます。
コンパクトさを重視するなら「ウインドブレーカー」
軽量コンパクト性を重視するなら、「ウインドブレーカー」を選んでください。
暖かい時期に、山頂や休憩中の寒さから身を守るために役立ちますが、軽量性を活かし、ザックの中に用意しておくアウターとしても活躍します。
ウインドブレーカーは活用の場が広く、商品によって備えている機能性が変わるため、登りたい山の環境や使い方にあわせて選びましょう。
秋山の肌寒さから体を守る「フリース」「ダウンジャケット」
正確には登山用のアウターではありませんが、秋山では「フリース」や「ダウンジャケット」などのアイテムも活躍します。
本格的な寒さに対応する能力はありませんが、標高が高い夏場の山や、気候が良い秋口の登山などでは肌寒さを感じることもあるため、1枚持っていれば安心です。
夏登山でも必ず持っていきたい「レインウェア」
季節や気温に関わらず、登山時に必ず持っていきたいアウターが「レインウェア」です。
レインウェアは雨に備えるためのアウターで、防水透湿性が高く、似た性能を持つハードシェルより軽量で動きやすさを損ないません。
山の天気は変わりやすく、雨は体温を奪うもの。晴天時の夏山登山であっても、万が一に備えてレインウェアは必ず持参してください。
防水性&防風性抜群!冬の登山におすすめのアウター
それでは、実際に登山用のアウターを選ぶなら、どのような商品が良いのでしょうか。
まずは冬の登山におすすめできる、防水性と防風性に優れたアウターを3つご紹介します。
冬の登山におすすめ
【マムート】セラック IN フーデッド ジャケット
マムートはスイスのアウトドアブランドで、品質の高さに定評があります。
アウターの種類としてはダウンジャケットとなりますが、高品質なピレネー産のダックダウンを170gも使っているだけあり、寒さをしっかりと防いでくれると評判。
ただし薄手で防水性は高くないため、雪が吹きすさぶ中での登山では少々機能性が足りないと感じられる可能性もあります。
【ノースフェイス】FL L5 ジャケット
ノースフェイスが独自開発した「FUTURELIGHT」という防水透湿素材が使用されており、冬の雪山でも活躍してくれる高機能ジャケットです。
3レイヤーのハードシェルではありますが、ソフトシェルのような柔らかさと700gという軽量性を誇り、登山時の動きを邪魔しません。
また、70デニールのシェル素材を使っているため耐摩耗性にも優れています。
【マウンテンハードウェア】W ウィンターコヒージョンジャケット
耐摩耗性・ストレッチ性・防水透湿性に優れ、さらに軽量な「DRY Q」というナイロン素材を使用したハードシェルジャケット。
冬のアウトドア用として開発された商品であり、冬山登山には最適。
さらにヘルメットをかぶったままフードをかぶれる仕様や、肩・袖に施された立体裁断など、登山に適した機能が数々備わっており、シーンを問わず活用する1枚です。
軽量で重ね着しやすい!夏・秋の登山におすすめのアウター
次に、夏・秋の登山に使えるアウターを3つご紹介します。
アウターとしてそのまま着用しても良いですが、冬場のミドルレイヤーとしても使える人気のアウターをピックアップしたため、オールシーズン活躍してくれるはずです。
夏・秋の登山に使えるアウター
【モンベル】EXライトウインド パーカ
薄手の素材を使うことで、なんと56gという軽量性を実現したフィット感のあるウインドブレーカー。
軽量シェル素材でありながら防風性と透湿性に優れているため、体を冷えからしっかりと守る機能性の高さを誇ります。
内側には収納用のポケットがついており、収納したときのサイズは手のひらに収まるほど。脇部分にベンチレーションをつけることで、さらに通気性を良くしています。
【ノースフェイス】ベントリックスフーディ
より通気性と保温性を高めるために、登山の動きにあわせた位置にスリットを設けたアウター。
軽量で伸縮性の高い生地を使用しているため、スリットが必要なときだけ機能的に働き、動きが邪魔されることもありません。
ザックによって擦れやすい肩や腰の部分に、耐摩耗性を高めるための補強が施されているなど、登山のために作られたフーディーです。
【パタゴニア】トレントシェル・ジャケット
3レイヤーのレインウェアです。裾部分にテープがついており、雨水の侵入をシャットアウト。
首元に触れる部分の裏地にはマイクロフリース生地を採用し、着用時の快適性を高めています。
秋・夏用としてご紹介していますが、防水性・防風性・透湿性に優れており、表面には耐久性撥水加工である「DWR」を施しているため、年間を通して使えるマウンテンジャケットです。
レディースも充実!安い価格で登山用アウターが揃うブランドは?
狙ってたユニクロのULボリュームダウンジャケットがセールで安くなっていたので即ゲット。インサレーションについては2万円の登山用よりユニクロ2枚重ねのほうがコスバ良いような気がしている(アウター併用前提) これで冬の星撮り準備万端。あとは気合いだけ( ´_ゝ`) pic.twitter.com/Xw6BcvEnym
— danzaimon (@danzaimon) November 30, 2019
アウトドアブランドのアウターを6種類ご紹介しましたが、やはり登山メーカーのものを購入しようとすると価格が高くなりがち。
そこで、安い価格で登山用アウターが揃う2つのブランドもチェックしてみましょう。
コスパの良いブランド
ユニクロ
汎用性の高いアウトドアウエアが安く手に入り、レディース商品も豊富に揃って便利と評判のユニクロ。
ユニクロで登山用アウターを購入するなら、「ブロテックパーカ」と「ウルトラライトダウンシームレスパーカ」の2種類がおすすめ。
ブロテックパーカは「防水・透湿・防風・ストレッチ」の4つの機能が備わっており、登山にうってつけのアウターと言っても過言ではありません。
ウルトラライトダウンシームレスパーカは軽量であるため、ザックの中に入れておく非常用マウンテンパーカーとして大活躍。
縫い目がないため高い防水・防風性能を誇ります。
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ワークマン
主にメンズ商品となりますが、ワークマンは、格安で機能的な登山用の服装を揃えるためにぜひ活用したいブランド。
登山に使うアウターなら、「ストレッチソフトシェルジャケット」がおすすめです。
ストレッチソフトシェルジャケットはストレッチが効いているだけでなく、通気性・防風性・撥水性もあり登山用アウターとして最適。
ベンチレーション付きで通気性も抜群です。ただし「撥水機能」であり「防水機能」ではないため、本格的な雨の日には向きません。
ワークマン公式サイトでは2,500円となっており、用途を限定するのであれば格安アウターとして活躍します。
登山用アウターは季節や状況に応じた使い分けが大切
登山用のアウター選びは難しく、季節や気温、山の環境に応じて、必要だと思われる機能性を考えて選ばなければなりません。
今回の記事では、登山用アウターの選び方や種類、おすすめの商品などをご紹介しましたが、その他のゴアテックス製品なども併せて探して、機能的でおしゃれな装備を整えてください。
登山の服装ではインナーウェアが重視されがちですが、アウターは雨風や寒さから身を守るための最後の砦。
初心者の方であれば特に、機能性の高い良い商品を選び、快適に登山を楽しみましょう。
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