最近では登山靴より軽量な「トレイルランニングシューズ」で登山をする方が増えていますが、ランニングシューズはどこまでの登山に対応できるのでしょうか?
こちらの記事では、ランニングシューズが使える場面、使えない場面などを解説します。
さらに登山で使えるランニングシューズの選び方やポイントもご紹介しているので、ランニングシューズに適した登山を予定している人は参考にしてください。
ランニングシューズと登山靴の違い
まずはランニングシューズと登山靴の違いについて知っておきましょう。
違いがわかれば、ランニングシューズを選ぶべきか、登山靴を選ぶべきか判断するためのヒントになります。
登山靴との違い
靴底の硬さ
ランニングシューズは名前の通り、ランニングやトレイル、ハイキングのためのシューズです。そのため、登山靴に比べて靴底が軟らかく、足を動かしやすくなっています。
反面、荷物を背負って山道を歩くための登山靴は、靴底が硬いという違いがあります。
防水性・耐久性
防水性や耐久性に関しては登山靴の方が優れています。ランニングシューズは軽量であるため耐久性が低く、防水機能が備わっていないものも少なくありません。
ただし、ゴアテックス素材のランニングシューズであれば防水性能も期待できます。
足への保護力
つま先や足の甲などを保護する能力も登山靴の方が上です。
保護力の低さもランニングシューズの軽量性が理由で、薄さを重視しているため、自然と足を保護する能力は低くなります。
登山靴ならゴツゴツとした岩から足を守ることも可能です。
登山靴を選ぶ理由
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ランニングシューズは登山で使えるのか?
ランニングシューズと登山靴の違いについて確認しましたが、やはりランニングシューズは登山靴よりも性能の面で劣ります。
ランニングシューズでは怪我をする可能性が高まり、歩きにくさや不便さを感じることもあると考えるからです。
しかし、登る山や天候などの条件があえば、ランニングシューズで登山をすることもできます。
次の項目では、ランニングシューズで登山ができる条件について解説します。
ランニングシューズで登れる?山の特徴から考察する
まずは、登りたい山の特徴から、ランニングシューズで登れるかどうかを考えてみましょう。
ここでは、登山者から高い人気を誇る「筑波山」「六甲山」「富士山」の3つの山をピックアップしました。
山の特徴から考察
晴れた日の筑波山なら使える
筑波山への登山は難易度が低く、晴天続きのときであればランニングシューズでも登れます。
ただし、難易度が低いとは言え岩場が多いため、2~3日前に雨が降っていたときや当日が雨天の場合はおすすめしません。滑って怪我をする可能性があります。
六甲山は登山靴が無難
六甲山は歩行距離・歩行時間ともに筑波山よりも長く、岩場も多いため行動中に滑って足を捻挫する可能性もあります。そのため、ランニングシューズよりも登山靴がおすすめです。
ただし、六甲山では神戸市が主催する「六甲全山縦走大会」が行われており、縦走するならランニングシューズが活躍します。
富士山に行くなら登山靴がおすすめ
富士山は歩行距離が長く、標高差も筑波山や六甲山よりも遥かに大きくなります。
岩場が多いため滑りやすく、ゴツゴツとした岩の上を歩くことも多いのでランニングシューズでは足への負担が大きいです。
富士登山を考えているなら、登山靴を用意することを強くおすすめします。
ランニングシューズが適さないシーン
次に、登山でランニングシューズが適さないシーンについて解説します。
前の項目を見てもわかるように、足元が滑りやすいときや過酷な登山のときには、ランニングシューズでは機能性が低くなりがちです。
適さないシーン
重たい荷物を持っている
靴底が軟らかいランニングシューズは、重たい荷物を持った登山には適しません。
重い荷物を持って足場の悪い道を歩くと、足裏の疲労感はかなり強くなります。
特に山頂で宿泊をする場合は荷物が多くなりますし、ランニングシューズの使用は日帰り登山に限るべきです。
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冬季登山をする
冬季登山では絶対に登山靴を履くようにしてください。
ランニングシューズには防寒性能がなく、積雪があれば登山靴でなければ蹴り込めません。
登山靴を履いたうえで、さらに足元の防寒をしっかりとして挑みましょう。
ランニングシューズはあくまでもトレイル用の靴なので、過酷な冬季登山には向いていません。
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雨の日の登山をする
雨の日の登山道は滑りやすくなっており、グリップ力の弱いランニングシューズでは危険です。
登山道が濡れている可能性があるため、前日や前々日に雨が降っていた場合も登山靴をおすすめします。
また、防水機能のないランニングシューズでは、足が濡れてしまい不快です。
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岩場の多い山に登る
岩場でランニングシューズが適さない理由は2つあります。
登山靴に比べて滑りやすいということと、靴底が岩に引っかかってしまう可能性があることです。
ランニングシューズの靴底は下に向かって広がっているので、登山靴よりも岩に引っかかりやすく危険性が高まります。
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登山で使える!ランニングシューズの選び方5つのポイント
ランニングシューズが適さないシーンをご紹介しましたが、登山でも耐えうる性能を持つランニングシューズであれば登山用として使えます。
晴天続きのときに難易度の低い山に登るのであれば、次のようなポイントを満たしたランニングシューズで軽快に登山を楽しんでみましょう。
登山で使えるシューズ
クッション性に優れている
靴底全体がクッション性に優れていて、特にかかと部分に厚みがあることが理想です。
クッション性があれば足への負担を軽減させられ、ゴツゴツした岩場からも足を守ってくれます。
下山時はかかとから下りるため、かかとに厚みがあればより一層歩きやすく感じられます。
防水機能がついている
登山のときは晴天時でも沢などで足元が濡れる可能性があるため、防水機能がついているものを選びましょう。
ただし、ランニングシューズは「濡れたら早く乾かす」という設計になっていることが多く、防水機能がついているものは少数です。
ゴアテックス素材のランニングシューズであれば、防水性能に間違いはありません。
通気性がよい
大量の汗をかくため、登山用の装備では通気性の良さが欠かせません。
もちろん靴でも同じで、蒸れを防ぐために通気性の良いランニングシューズを選びたいものです。
アウトドア用のランニングシューズでは、通気性に配慮したモデルも多く販売されています。
つま先から側面にかけて保護がある
足を怪我から守るために、つま先全体から側面にかけて保護されていることもポイントです。
登山靴よりも薄いランニングシューズでは、保護がなければ足を怪我する可能性が高まります。
保護は足を守るためだけではなく、歩行の際のぐらつきを軽減させるためにも役立ちます。
グリップ力と安定性に優れている
足元が不安定な登山道では、グリップ力と安定性に優れたランニングシューズを履いてください。
グリップ力が弱いと下山のときに足元が安定せず、思わぬ怪我に繋がります。
靴底に刻まれたパターンが多いものほどグリップ力と安定性が高まるので、靴底をチェックしましょう。
登山にも使えるおすすめランニングシューズ3選
愛用シューズ👟をパチリ📸
左上より→
1️⃣ナイキ フリーランフライニット
2️⃣アルトラ OEN2.5
3️⃣アルトラ パラダイム
4️⃣ニューバランス MT110
5️⃣イノヴェイト トレイルロック235 pic.twitter.com/h3g7KaNaIJ— オックン 💪🏾減量💪🏾 (@OKUTAN55) October 9, 2017
登山用ランニングシューズを選ぶときのポイントを押さえたら、実際におすすめのランニングシューズを選んでいきましょう。
こちらではおすすめのランニングシューズを3つご紹介しますが、必ず事前に試着をして、フィット感を確認してから登山に活用してください。
おすすめランニングシューズ
ナイキ エア ズーム テラ カイガー 5
粘着性の靴底はグリップ力があり、山道でも安定した歩行が可能となるメンズ用ランニングシューズです。
側面とアッパーに孔があるため通気性に優れており、軽量性も申し分ありません。
爪先のロックプレートによって足を保護する能力もあり耐久性が高いこと、ソールに高反発の「Zoom Airユニット」が内蔵されていて、クッション性が高いことなど、登山用のランニングシューズとして高い機能性を誇ります。
イノヴェイト トレイルロック
トレイルロックシリーズは岩場でのグリップ力が高いことが特徴ですが、さらに「グラフェン」という素材を使用し、耐久性を向上させているモデルもあります。
ミッドソールのクッション性が高く、歩行時の衝撃を最小限に抑えてくれるランニングシューズです。
メンズ・レディースの両方のサイズが用意されています。パープルとブラックのカラーリングにエメラルドグリーンが映える、非常におしゃれな一足です。
ノースフェイス ウルトラトレイル スピード
ウルトラトレイル スピードは、衝撃吸収性と安定性の高さが魅力です。
アッパーの縫製を工夫することによって足への衝撃を吸収し、「ビブラムXS-Trekラバーソール」の採用で歩行時の安定性を高めてくれます。
つま先部分はラバーで保護されているので、耐久性も問題ありません。
高いグリップ力ながらスピーディーに動けるように工夫されており、登山以外のスポーツでも活躍してくれます。こちらもメンズ・レディースともにサイズが用意されています。
靴の特徴を知って適したものを選ぼう
「登山で使える」と言われる靴は、ランニングシューズの他にもたくさんあります。
しかし、全ての靴が全ての登山に使えるわけではなく、それぞれの靴の特徴を知って、シーンごとに使い分けることが大切です。
そこで最後に、登山で使える靴の特徴と使えるシーンについて解説します。
登山で使える靴
ランニングシューズ・トレランシューズ
スコットのトレランシューズ買いました!
トレランデビューが待ち遠しい⛰️🏃 pic.twitter.com/4jALhEAaom
— つぶあん (@2buanROAD) March 27, 2021
ランニングシューズやトレランシューズは、登山でも軽量でスニーカーのような感覚で履けることが魅力。
とくにトレランシューズは、アウトドア使いだけでなく普段履きとしても人気です。
グリップ力や足への保護力もありますが、登山靴よりは性能が低いとされています。ミドルカットを選べば足への保護力は多少高まります。
長時間履いていても疲れにくく素早く動けますが、濡れた岩場や泥の上で滑る可能性もあり、耐久性や防水性も期待できません。
晴天時に難易度の低い山に登るときに履きましょう。
アプローチシューズ
悩んでいたアプローチシューズ。
今回はイグアナに決定〜🎉 pic.twitter.com/SU5WpT8emo— とい (@unoulvme) August 30, 2020
アプローチシューズは岩場の歩行やクライミングで活躍する靴で、爪先部分の保護が強力なことが特徴です。
軽量でグリップ力が高く、通気性に優れているため、岩場の多い山に適しています。
ただし、防水性がないことやぬかるんだ道で滑りやすいこと、かかとの保持が弱いことなどから、性能の面では登山靴には敵いません。
耐久性は登山靴以下、ランニングシューズ以上です。
トレッキングシューズ
トレッキングシューズはランニングシューズやアプローチシューズよりも足を固定する力が強く、靴底は硬めになっています。
登山靴に近い性能ですが、日帰り登山など、あくまでも軽登山を前提として作られている靴です。
登山靴よりも歩きやすいため、初心者の方が最初の一足として購入することが多くなっています。
低山登山や軽登山であれば、トレッキングシューズがあれば問題ありません。
登山靴
登山用の靴の中で最も重く、靴底が硬いのが登山靴です。
グリップ力と安定性が高く、岩場やぬかるんだ道、木道などさまざまな地形に対応する機能性の高さを誇ります。
ローカットモデルはほとんど見かけることがなく、ハイカットが主流です。
本格的な登山をするのであれば、登山靴が必ず必要になります。富士山などに登るなら登山靴を用意しましょう。
ゼロシューズ
サンダルのような形状でありながら耐久性があり、動きやすく、登山でも使えると言われるのがゼロシューズです。
確かに登山でも使えるのですが、ゼロシューズは行動中に履くものではありません。テント場などの足元が安定した場所で履くものです。
片方で170gという軽量性は魅力的で、簡単に履けるというメリットがあるので、宿泊を伴う登山のときにザックに忍ばせていくことをおすすめします。
まとめ
ランニングシューズは登山初心者の方でも歩きやすく、登山にも使えますが、あくまでも晴天の日の軽登山向けの靴です。
どのような山でもランニングシューズで対応可能なわけではなく、登山中の場面を想定して、大丈夫そうであれば利用できます。
ランニングシューズは様々な製品が販売されていますが、もし登山用として選ぶなら、こちらでご紹介した選び方に沿って選んでください。
ただし、足元が滑りやすい山や雨天時の登山であれば、トレッキングシューズや登山靴など、より機能性の高い靴をおすすめします。
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