シューズさえ用意すればすぐに始められる運動として、注目度が高まっているのがランニングやジョギングです。
ランニングならスポーツ初級者の方でも自分のペースで手軽に取り組めて、ダイエットや体作り、運動不足解消に効果的。
そこで、これからランニングを始めてみたいと思っている初心者の方に向けて、走り始める前にチェックしておきたい基礎知識をご紹介します。
基本を知って快適で効果的なランニングを目指しましょう。
ランニングに期待できる効果&メリットとは?
ランニングを始める前に、初心者の方はまず、期待できる効果やメリットについて復習しておきましょう。
ランニングを続けると次のような効果が期待できます。
種類 | 具体的な効果 |
ダイエット効果 | ・基礎代謝アップ[1] ・全身の引き締め効果 ・体脂肪減少効果[2] ・エネルギー消費量アップ[2] |
健康効果 | ・生活習慣病予防[3] ・脳機能の維持[4] ・記憶力向上[5] ・降圧効果[6] ・疾患予防[7] ・ストレス解消[8] |
体づくり | ・全身持久力向上[3] ・心血管機能向上[7] ・心肺機能向上 |
美容効果 | ・老化遺伝子機能の抑制[7] ・便秘改善作用[9] |
ランニングに期待できる効果として代表的なものだけをあげましたが、ダイエット・健康・体づくり・美容…と、実にさまざまなメリットがあることがわかります。
サイクリングのように特別な器具も必要なく、水泳のように運動する場が限られることもなく運動初心者でも始めやすいランニングは、有酸素運動の中でも最も取り組みやすくさまざまな効果が得られると運動です。
【服装・グッズ編】ランニング初心者はまず服装・必要なものを揃えよう
それではいよいよ、ランニング初心者の方がチェックしておきたいポイントについてご紹介していきます。
まずは、揃えておきたいスポーツウェアや、走りを快適にしてくれるグッズについて見ていきましょう。
必ず準備しておきたい「ランニングシューズ」
ランニングを始めるなら、必ず用意しておきたいのがシューズ。
ランニングにおいて最も基本的な装備品であり、足首や膝への負担を軽減させるためにも良いシューズを選ぶことが大切です。
ランニング初心者のシューズ選びのポイント
ランニング初心者の方のシューズ選びは、自分の足へのフィット感が高く、クッション性のあるものを選んでください。
ポイントはサイズだけで選ぶことなく、店舗で試着をしてから選ぶこと。できれば、店舗で足長や足幅を測ってもらって自分に合うものを選ぶことをおすすめします。
ランニング初心者にオススメのシューズ
もし「どのシューズを選ぶべきかわからない…」と迷ったら、ランニング初心者の方には次のようなシューズがおすすめです。
- ナイキ:ペガサス36
- ナイキ:ボメロ14
- アシックス:ターサージャパン
- ニューバランス:ハンゾーR
もしシューズ選びで迷ったら、初心者の方向けの上記4種類を試着して、いちばんフィット感のあるものを選びましょう。
機能性の高い「ランニングウェア」
ランニングを継続する予定なら、ランニング用のスポーツウェアも準備しておきたいもの。
選ぶ際のポイントは、通気性・吸汗性・速乾性・伸縮性が高い製品を選ぶことです。
コットンは乾きにくいので、ポリエステル素材でストレッチ性が高く動きやすいものを選んでください。
スマホやカギを快適に携帯する「ランニングポーチ」
ポケットの中に物が入っていると、ランニング中のストレスになります。
スマートフォンやカギ、小銭などの小物を収納するためのランニングポーチもぜひ揃えておきたいところです。
ボトル入れがついていると、走っている最中に気軽に水分補給ができるようになります。
ランニング専用のポーチは走っているときに揺れないようになっており、揺れが気になることもないはずです。
走りへのモチベーションを高める「ランニング専用アプリ」や「活動量計」
ランニング初心者にとって絶対に必要なものではありませんが、走りのモチベーションを高めるためにあると良いものが「ランニング専用アプリ」や「活動量計」です。
アプリは無料で利用できるものも多く、ペースや距離、消費カロリー量を記録してくれるので練習日記として活用できます。
ただ、心拍数など体の細かなデータを知りたい場合は、活動量計があるととても便利です。
活動量計で記録したデータを、スマホのアプリ内に保存しておける製品も多々揃っています。
音楽を聞きながらランニングしたいなら「イヤホン」を
ランニング中に音楽が欲しい方なら、運動用のイヤホンも準備しておきましょう。
ケーブルが邪魔にならないワイヤレスイヤホンでも構いませんが、周囲の音を遮断しない骨伝導イヤホンなら歩行者や自動車との事故を未然に防げる可能性が高まります。
また、ソニーから発売されている「ウォークマンWシリーズ NW-WS623/NW-WS625」は、ウォークマンとイヤホンが一体になっているので、MP3プレイヤーを持つ必要がなくランニング中の荷物を減らすために役立つ製品です。
【マナー編】ランニング初心者が知っておきたい基礎知識を徹底解説!
初心者の方がランニングを始めるにあたって、揃えておきたいウェアやグッズがおわかりいただけたはずです。
それでは次に、初心者の方が知っておきたいランニングのマナーや走り方などの基礎知識をご紹介します。
まずは正しいフォームを身に着けよう
ランニングの効果を高めるためには、正しいフォームで走ることがコツです。
正しくないフォームではパフォーマンスが低下するだけでなく、脚・膝・関節・筋肉などに負担がかかることもあり怪我を引き起こしかねません。
体重減少効果を最大限に実感するためにも、フォームを意識することは重要だとされています。
- 姿勢を正して猫背にならない
- 顎をひく
- 足で地面を押すように蹴り出す
- 少しだけ前傾姿勢をとる
正しいフォームは、細かく解説すると本が一冊できあがるほど奥深いもの。ランニング初心者の方はまず、上記の4つのポイントを意識してください。
効率よく酸素を取り入れられる呼吸法を習得しよう
正しいフォームを習得したら、効率よく酸素を取り入れるための呼吸法を練習しましょう。
ランニングにおいて基本となる呼吸法のポイントは次のとおりです。
- 鼻から吸って鼻から吐く
- 胸ではなくお腹を膨らませる腹式呼吸を意識する
- 「吸う」「吐く」のリズムを2歩ペースで考える
ランニングのペースにより適した呼吸法は変わりますが、2歩進む間に息を吸って、2歩進む間に息を吐く…という呼吸を繰り返す「4拍子」という呼吸法が一般的です。
腹式呼吸では酸素吸入量増加により流れる血液量を増やせ、走りが楽になるだけでなくダイエットにも効果的なので、ぜひ習得されることをおすすめします。
準備運動としてストレッチを必ず行おう
「ランニングを始めよう!」と思ったら、いきなり走り出してはいけません。
まずは準備運動としてストレッチを行い、関節と筋肉の柔軟性を高めることが大切。
ストレッチは怪我の予防に役立つだけでなく、脂肪燃焼効果や基礎代謝も高められるとされています。
ランニング前はもちろん、走り終わった後も整理運動としてストレッチを行うことが理想です。
筋トレ効果もあるウォーキングはおすすめの練習方法
ランニングを始めると、走るために必要な筋肉をトレーニングしたいと思うランナーが増えてきます。そこでおすすめしたい運動がウォーキング。
軽い運動だと思われがちなウォーキングですが、ヒラメ筋や腓腹筋、大腿四頭筋など下半身の筋肉を鍛え、身体機能を高めるためには理想的な運動です。
毎日の中で意識的に歩く習慣を身につければ、ランニングに耐えられる体づくりが自然とできていくでしょう。
水分・エネルギー補給を忘れずに
夏場はもちろん、年間を通してランニング中の水分・エネルギー補給は積極的に行ってください。
ランニング中は想像以上に汗をかくため、水分補給を怠ると脱水症や熱中症などのリスクが高まります。
また、長時間に渡るランニングをするのであれば、エネルギー不足にならないよう糖分が含まれた飲み物を活用するなど、エネルギー補給も心がけたいものです。
【距離・ペース編】ランニング初心者に最適な走り方は?
ランニングを始めるために準備したいものと、覚えておきたい基礎知識をご紹介してきました。
しかし、初心者の方であれば「どのくらいの距離を走るべきなのか?」「どのくらいのペースが理想的なのか?」と、ランニングについて疑問を持つ方も多いはず。
そこでここからは、ランニング初級者の方に最適な走り方の基本を解説します。
ご自身の体力や運動経験と相談しながら、無理のないペースで走りましょう。
初心者におすすめなのは時速6~7kmで3kmコースのランニング
ランニング初心者の方は、最初からスピードを上げて走るとケガにつながりかねません。
体への負担も大きく、継続できなくなる可能性もあるため、最初は時速6~7kmのスピードを守りながら、3kmを完走することを目標としてください。
マラソン大会出場やトップランナーを目指しているという方も、まずは市民マラソン大会や10kmマラソンで走れる体を作ることを最優先として、軽く息が弾む程度のペースで3kmのランニングを継続されることをおすすめします。
1週間に3~4回の頻度で無理なく走ろう
ランニングのペースは、1週間に3~4回から始めましょう。
内臓脂肪減少のための運動として厚生労働省から提唱されているのは、「1週間に10メッツ」の運動量です[2]。
「メッツ」とは運動量の単位のこと。ランは時速6.4kmで1時間走った場合に6.0メッツとされており[10]、1週間に1時間40分のランニングで10メッツを達成できます。
時速6~7kmで3kmを走るとすると、1回につき20~30分くらい走ることになるので、1週間に3~4回の頻度で走れば厚生労働省が提唱する運動量となります。
ただし、個人個人の体力にあわせて頻度を調整することも大切です。
膝関節への負担を軽くするならスロージョギングもおすすめ
健康のためにランニングをしたくても、走ると膝の痛みを感じるという方も多いようです。
ランニングの運動強度が負担になるようなら、スロージョギングから始めてみてはいかがでしょうか。
スロージョギングとは、ウォーキングと同等の時速3~5kmで走るジョギングのこと。
ただし、ウォーキングよりも脂肪燃焼効果が高く、ロコモ改善や体づくりに大きな効果をもたらすとされています。
スロージョギングの効果とは?
スロージョギングで得られる効果とは次のとおりだと言われています。
- ウォーキングの約2倍もの脂肪燃焼効果
- 下半身の筋力強化
- 体力向上
- 生活習慣病の予防・改善
- サルコペニアの予防・改善
- 脳機能の改善
期待できる効果はランニングとほぼ変わらず、体への負担を減らしながらさまざまなメリットを享受できる理に適った運動です。
本格的なランニングを始めるための体づくりとして、運動が苦手な方の運動不足解消法として適しています。
スロージョギングを実践するときの3つのポイント
スロージョギングから始めたいと考えているランニング初心者の方は、実施する際に重要となる3つのポイントを守って行うようにしてください。
- ランニングの基本姿勢を守る
- 歩幅は歩くときの半分くらいにする
- 1日30分を目安に行う
速度が早くなりすぎないように気をつけながら、上記3つのポイントを守ることで効果が最大限に発揮されます。
自分の体力・筋力にあった運動強度で走ることが大切
ランニング初心者の方に向けて走り方の基本を解説してきましたが、最も重要なことはご自身の体力・筋力にあった強度で継続することです。
強度を上げたランニングをしたとしても、継続できなければ効果は薄れてしまいます。
ゆっくりのペースで構いませんので、継続できるようにしましょう。
ランニング初心者はまず体づくりから!生活の中に運動習慣を取り入れよう
外でランニングをすることについて、特に高校生など若い人は「恥ずかしい」と思われる場合もあるようです。
しかしランニングは、初心者でも肥満解消・持久力アップ・健康維持などさまざまな効果が期待できる優れた運動。継続すればきっと何らかの効果を実感できるはずです。
ランニングを始めたいと思われている方は、解説した基本ルールを守りながらご自身なりのメニューや練習法を設定してぜひ続けてみてください。
アプリなどを活用して身体の状態や走りの情報を記録していると、ご自身の体が徐々に変わっていくことに気がつくでしょう。
[2]参照:e-ヘルスネット:内臓脂肪減少のための運動
[3]参照:e-ヘルスネット:なぜ全身持久力が必要なのか -健康と全身持久力の関連性
[4]参照:国立障害者リハビリテーションセンター研究所:“衝撃”の事実!ジョギング・ウォーキングの効果は、脳への“衝撃”によるものだった!!頭への適度な“衝撃”が脳機能を調節・維持することが明らかになった!!!
[5]参照:JSTAGE:ランニングの効果は記憶機能にも及ぶ
[6]参照:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:運動vs.薬、高血圧に「より」効くのはどっち?
[7]参照:産学官の道しるべ:「スロージョギング」で脳と体が変わる! -運動習慣の形成を支援する福岡大学の研究活動-
[8]参照:
[9]参照:JSTAGE:慢性便秘症に対する食事療法,運動療法,理学療法
[10]参照:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』