ランニングを始めようとする初心者の方は「毎日走らなきゃ!」と意気込みがちですが、走る頻度は目的や体力によって変えるべきです。
ランニングは手軽に取り組めるスポーツですが、初心者の方が無理をすると、筋肉量が減ったり怪我のリスクが高まったりする可能性も…。
特に運動不足解消を目的としているランナーであれば、メリットよりデメリットが上回ってしまうケースもあるため、目的別に適切な頻度を知ってからランニングに取り組みましょう。
ランニングは毎日するべき?初心者が毎日走ることのデメリットとは
まず、ランニングの適切な頻度を確認していく前に、毎日走ることのデメリットについてご紹介します。
- 疲労が蓄積されてケガのリスクが高まる
- 筋線維の修復が間に合わなくなる
- 正しいランニングフォームを維持しづらくなる
- 継続することが難しくなる
毎日ランニングをすると、身体や筋肉、心に疲労が溜まります。疲労が蓄積された状態で走るとケガのリスクが高まり、さらに毎日酷使される筋肉は修復される暇がありません。
筋肉が疲れた状態で走るとフォームの維持が難しくなることもデメリットのひとつ。
疲労が抜けきらない状態ではランニング自体もつらく感じられるようになり、結果的に継続できなくなることも…。
毎日ランニングをすると、身体面・精神面のどちらにも悪影響を及ぼす可能性があります。
【目的別】ランニングの頻度は目的・体力で切り替えよう!効果を得られる理想のペースを徹底解説
初心者ランナーが毎日ランニングをすることはおすすめできません。
それでは、一体どのくらいの頻度で行っていくべきなのでしょうか。ランニングの頻度は次のように、ご自身の体力や目的によって切り替えましょう。
健康効果を得たいランニング初心者は週に3~5日
まず、ランニングで健康効果を得たい、身体を強化したいと考えている初心者の方には、週に3~5日程度走ることをおすすめします。
厚生労働省のe-ヘルスネットからの情報提供によると、「週に3~5日の有酸素運動が健康づくりに効果的」とされているためです。
健康効果を得るための適切な距離
週に3~5日のランニングを健康づくりの基本としても、1日で走る距離によって運動量は大きく変わります。
健康効果を得るためには、1日あたり2~3kmが適切です。6~7km/h程度のゆっくりとしたペースで走ると身体への負担も少なくなります。
健康効果を得るための適切な時間
ランニングで健康効果を得るためには、20~30分程度のランニングがおすすめです。
時速6~7km/hで2~3km走ると20~30分になるので、運動強度が高くなりすぎなようペースを守って20~30分の時間を走り抜くようにしましょう。
ダイエット目的でランニングをするなら週に3~4日
ダイエット目的でランニングを始めるなら、週に3~4日が適切だと言われています。
毎日走ったほうが消費カロリーは増えますが、ダイエットのためのランニングは頻度より継続が大切。
毎日走ると継続することが難しくなるので、頻度は1日おきに抑えて、長期に渡り継続させたほうが効果的です。
ダイエット効果を得るための適切な距離
ランニングでダイエット効果を得るためには、1回につき3kmを走るのが基本となります。
実際はダイエット効果はランニングの距離ではなく走行時間に左右される傾向があるので、詳しくは次の項目で解説します。
ダイエット効果を得るための適切な時間
ジョギングダイエットを成功させるためには、走る距離よりも時間の方が大切。
脂肪燃焼のために必要なランニングの時間は、20~30分とされています。
「脂肪燃焼のためには20分以上の有酸素運動が必要」という説は、最近の研究によると否定的。運動の時間が長いほど体重は減るとされています。
しかし、長時間の運動をすると身体に負担がかかり、エネルギー源として筋肉が分解されてしまう可能性が高まります。
エネルギー源が糖質から体内の脂肪に切り替わるのは運動開始20分からとされているため、その後10分間の脂肪燃焼効果が期待できる20~30分程度のランニングが最も効果的だと考えられます。
スロージョギングはウォーキングと変わらない速度ながら、脂肪燃焼効果はウォーキングの約2倍。
ダイエット目的でランニングをするなら時速6kmのスロージョギングで3km走るのが良いという結論になります。
大会出場を目指したマラソントレーニングなら週に5~6日
マラソン大会への出場を目指している人であれば、週に5~6日程度の頻度でランニングをすることがおすすめ。
ポイント練習で身体機能を高めるトレーニングを重ねながら、体づくりとランニング練習の両方を行っていきましょう。
ただし初心者からフルマラソンの練習を始めるなら、週に2~3日の練習から始め、徐々に頻度を増やすよう無理をしないことも大切です。
トレーニング効果を得るための適切な距離
マラソン練習のためにランニングをするなら、距離よりも時間を決めて走るようにしましょう。
長距離を走るマラソンの練習と言えば距離を重視するべきだと考えがちですが、長く走り続けることができる体力と精神力から養ったほうが効果的です。
トレーニング効果を得るための適切な時間
距離より時間を優先したいマラソン練習。それでは、一体どのくらいの時間ランニングをするべきなのでしょうか。
マラソン未経験者のランナーであれば、40~60分程度走り続けることを目標としてランニングを行いましょう。
最終的に120分程度走り続けられるようになれれば、マラソン完走も夢ではありません。
運動習慣を身につけたいなら毎日少しずつ走るのもおすすめ
健康やダイエットのためではなく、運動の習慣を身につけるためにランニングをしたいという人もいると思います。
運動習慣のために走りたいという人や走りを楽しむファンランナーは、運動を習慣づけるため、短距離短時間のランニングを毎日実践するという走り方でも良いでしょう。
毎日ランニングをするときの適切な距離
毎日ランニングをするなら、3~5km程度の無理のない距離から始めましょう。
もちろん、3kmがつらければ1~2kmから始めても構いません。運動習慣を身につけるなら、運動強度を上げるよりも、低い強度の運動を毎日実践するほうが継続しやすくなるはずです。
毎日ランニングをするときの適切な時間
運動を習慣化させたいという目的であれば、走る時間も無理がないようにしましょう。
1日あたり30分が目安となりますが、最初のうちは10分間でも良いので、「ランニングができた」という達成感を重視したほうが習慣化につながります。
頻度高くランニングを行っていけば、徐々に長時間に渡る走りにも耐えられるようになるはずです。
毎日運動したいなら?効率よく身体をつくるためのトレーニングメニュー
運動習慣を身に着けたい人は別ですが、健康やダイエット、マラソンを目的としているなら毎日ランニングすることは避けたほうが良いとされているのが事実。
しかし、体づくりをしているのに何も運動をしないという状況に、居心地の悪さを感じる人もいるようです。
どうしても毎日運動をしたいという場合は、次のようなトレーニングメニューを実践してみましょう。
曜日 | メニュー |
月曜日 | ウォーキング |
火曜日 | ジョグ |
水曜日 | ウォーキング |
木曜日 | ランニング |
金曜日 | ストレッチ |
土曜日 | ジョグ |
日曜日 | ランニング |
週に4回のランニングとジョギングを行いながら毎日運動をするメニュー例です。
週末以外は1日おきにランニングをしますが、その他の日は低強度のウォーキングやストレッチを実践してカバーしています。
体力や目的にあわせてメニューを入れ替えれば、どのような目的でも活用できるはずです。
ランニングに筋トレを組み込むトレーニングメニュー例
身体づくりを効率的に進めていくためには、ランニングと筋トレを組み合わせることも効果的です。
ただし、筋トレはランニング以上に筋肉に負荷を与えるため、トレーニングと休息のメリハリをつけることがポイント。
それでは、ランニングに筋トレを組み込むトレーニングメニュー例をご紹介します。
曜日 | メニュー |
月曜日 | 休み |
火曜日 | 上半身の筋トレ→ランニング |
水曜日 | 休み |
木曜日 | 下半身の筋トレ→ジョグ |
金曜日 | 休み |
土曜日 | 上半身の筋トレ→ランニング |
日曜日 | 下半身の筋トレ→ジョグ |
有酸素運動の前に筋肉に負荷をかけると、脂肪燃焼効果のある成長ホルモンが分泌されます。
そのため、筋トレ→有酸素運動という順番で行うとランニングの効果がアップ。
筋肥大のためには2~3日の休息で超回復を促さなければならないので、筋トレ効果を高めるため、上半身・下半身でそれぞれ2~3日の休息日を設けています。
心肺機能・筋持久力向上!ポイント練習を組み込んだ練習メニュー
次に、心肺機能や筋持久力を向上させるための「ポイント練習」を組み込んだ1週間の練習メニューをご紹介します。
本格的にランニングを実践していくために身体づくりから取り組みたいという人は、次のメニューを参考にしてトレーニングを行いましょう。
曜日 | メニュー |
月曜日 | 休み |
火曜日 | ランニング |
水曜日 | ポイント練習 |
木曜日 | 休み |
金曜日 | ジョグ |
土曜日 | ポイント練習 |
日曜日 | ランニング |
ランニングの頻度は週に5回となっていますが、スローペースのジョギングを組み込んで、身体への負荷をかけすぎないようにしています。
ポイント練習とランニングの組み合わせは運動強度が高いので、平日は1回のみとして、ゆっくり身体を休められる週末にかけて集中的に行う例です。
初心者ランナーの注意点とは?ランニング&日常生活のポイントを押さえて筋疲労を回復!
初心者ランナーが目指すべきランニングの頻度とトレーニングメニュー例を確認したところで、より快適にランニングを行っていくためのポイントを知っておきましょう。
注意点を守って走れば、筋肉や身体の疲労回復もスムーズになるはずです。
トレーニングウェアと専用シューズを準備する
ランニング初心者は、まずトレーニングウェアと専用シューズを準備することから始めてください。
特にシューズはランニングの要となるアイテムです。快適なランニングのためには、クッション性が高く、自分の足にフィットするランニングシューズを用意することが欠かせません。
トレーニングウェアはTシャツとハーフパンツでも良いですが、専用ウェアは通気性・伸縮性・速乾性に優れているため、本格的にランニングを始めるならやはり揃えておきたいところ。
綿のTシャツなどは汗を吸っても乾きにくく、不快感が増したり汗冷えの原因になったりするので、乾きやすいポリエステル素材のウェアがおすすめです。
ランニング前後には必ずストレッチを
初心者ランナーがおろそかにしがちなストレッチ。ランニングの前後には必ずストレッチを行って、関節や筋肉の柔軟性を高めておくようにしてください。
ケガを予防するためにも重要ですが、関節や筋肉をほぐしておけば血行が良くなり、基礎代謝や体脂肪燃焼効果も高まります。
姿勢良く正しいフォームで走ってランニング効果を高めよう
外を走っているだけでランニングというスポーツは実現できますが、運動効果を高めるためには正しいフォームを維持することがポイントです。
ランニングフォームの基本は次のようになります。
- 上半身を少し前方に傾ける
- 上半身がぶれないように重心を一定に保つ
- 股関節を大きく動かすように脚を高く上げる
- つま先から着地する
- 腹式呼吸で酸素を十分に取り入れる
正しいフォームで走ると運動効果が高まるだけでなく、正しく筋肉を使えるため筋力アップにつながり、さらに走りも楽になります。
階段を駆け上るときの姿勢は正しいランニングフォームに近いとされているので、ぜひ一度、階段を駆け上りながらご自身の姿勢をチェックしてみましょう。
食事で筋肉の回復に必要な栄養素を摂取する
ランニングで筋肉を使ったら、食事で筋疲労を回復させなければなりません。筋肉の回復に必要な栄養素はたんぱく質・糖質・ビタミンCです。
たんぱく質は筋肉の原料となり、糖質は筋たんぱく質合成をサポートする「インスリン」という物質を分泌させる栄養素。
ビタミンCが不足しがちな生活を送っていると筋線維が細くなってくるので、ビタミンCも積極的に摂取しておきたいものです。
ランニングをした直後の食事ではたんぱく質と糖質を同時に摂取するようにし、排泄で失われやすいビタミンCは毎日こまめに摂るようにしてください。
睡眠をしっかりとって筋疲労を回復!
筋肉の疲労回復には睡眠をしっかりととることも欠かせません。
筋力トレーニングには成長ホルモンを分泌させる働きがあると解説しましたが、1日のうちで最も成長ホルモンが分泌されるのは、眠り始めの深い睡眠中です。
眠り始めたときに睡眠が中断されないよう、睡眠環境を整えておくことが筋疲労回復につながります。
また、ランニングによる全身の疲労が回復されるのも睡眠中です。運動の疲れを癒やして次のトレーニングに備えるためには、食事と睡眠をしっかりと管理するようにしましょう。
毎日のランニングはよくない!自粛期間中もランニングダイエットは無理せず体力にあわせた頻度で
昨今のように外出自粛が続くとストレスが溜まり、毎日走りたいと思われるかもしれませんが、毎日5kmのジョギングをする、毎日10kmのランニングをする…という走り方は、レースに参加するようなアスリートのランニング頻度。
初心者ランナーが実践すると身体に過度な負担をかけかねません。
ランニングは代謝を高め、体脂肪率を減らすなどさまざまな健康効果が得られる運動方法ですが、週に3~5回が適切だとされているので、筋トレやストレッチを組み込みながら頻度を調整しましょう。
週に3~5回でも、継続すればジョギング効果ありすぎだと実感できるはずです。