ダイエット効果や持久力向上、体作り、大会参加…と、ランナーの方はさまざまな目的でランニングに取り組んでいるはずです。
しかし、「運動の時間はあっているのかな?」と不安に思う方も多いはず。
そこで今回の記事では、目的別にランニングに適した走行時間の目安を解説します。
もちろん、生活習慣や運動強度により適切な時間は変わりますが、運動効果を得るためのひとつの目安として参考にしてください。
効果的なランニングをするには「時間」と「距離」のどっちを重視するべき?
ランナーの多くは目的を決めてランニングをしますが、運動効果を得るためには「時間」と「距離」のどちらを目的にするべきなのでしょうか?
結論から言えばどちらでも構いませんが、ランニング初心者であれば時間を目的にした方が続けやすいと言われています。
時間を目的にした方が良いとされる理由は、体調にあわせてペースを緩められるためです。
距離を目的にすると、体調が優れないときやイマイチペースが上がらない日に、長時間に渡り走らなければならなくなり精神的な負担になります。
また、距離より時間の方が測定しやすく、目標として気軽に設定できることも初心者向けだとされる理由のひとつです。
【目的別に解説】ランニングをする時間の目安は?時間を計算して最大限の運動効果を得よう
それでは、ランニングをするならどの程度の時間を目安にするべきなのでしょうか?
実はランニングの時間は、得たいと思う運動の効果により変わります。ランニングの目的別に、どの程度の時間を目安にするべきなのか確認していきましょう。
【ダイエット】ランニングの時間は20~30分を目安
脂肪燃焼ダイエットのためにランニングをしている方なら、走る時間は20~30分が目安です。
ランニングで得られるダイエット効果は脂肪燃焼効果や代謝・筋力・消費カロリーアップなどがありますが、20~30分のランニングで脂肪燃焼効果が高まります。
脂肪燃焼効率が高まるのはランニング開始20分後から
20~30分のランニングで脂肪燃焼効果が高まるとされているのは、走り始めてから20分間は、体内に貯蔵されている「グリコーゲン」という糖質が燃焼されるためです。
そして、20分を越えたくらいからエネルギー源が体内の脂肪に切り替わります[1]。
もちろん、20分以内の有酸素運動ではダイエット効果が得られないというわけではありませんが[2]、より効率的に体重と体脂肪率を減らすには20~30分程度が適切です。
[1]参照:e-ヘルスネット:エアロビクス / 有酸素性運動
[2]参照:e-ヘルスネット:内臓脂肪減少のための運動
基礎代謝を上げるためには筋トレも大切
ダイエット効果をより高めるためには、筋力トレーニングで筋肉量を増やし、基礎代謝を高めることも欠かせません。
基礎代謝量とは、身体を全く動かしていないときに脳・肝臓・筋肉が消費するエネルギーのことですが、脳と肝臓の量は変えられないため筋肉量を増やすことで高まります。[3]
ダイエットのためのランニングを20~30分と解説したことにも、基礎代謝が影響しています。
20分から脂肪燃焼効果が高まるなら長時間走り続けたほうがいいのではないか…と考えた方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、長時間に渡る運動では筋肉もエネルギー源として分解されがちになるため、筋肉量が減って基礎代謝が低下することも。
したがって、20~30分のランニングで体脂肪の燃焼を促しながら、筋トレで筋肉量を増やすことが効果的です。
[3]参照:e-ヘルスネット:基礎代謝量
【カラダづくり】60分以上の運動で持久力向上
体作りのためにランニングをしているなら、60分以上の運動が効果的。
厚生労働省の情報提供によると、できる限り長時間に渡って走り続けることで心肺機能などの全身持久力向上につながり[4]、日常的に運動をしている方には「30~90分の運動」がおすすめだとされているためです[5]。
[4]参照:e-ヘルスネット:心肺持久力
[5]参照:e-ヘルスネット:運動処方
心肺機能・持久力向上には低強度運動を長時間行うことが効果的
運動で体作りをして心肺機能やスタミナをアップさせたいという場合は、長時間の運動が効果的ですが、コツは低強度の運動を行うということです。
強度の高い運動は無酸素運動になってしまい、持久力が向上しにくくなる可能性があります。
目安となるのは「最大酸素摂取量の40%以上」とされており[4]、立ち止まらなくても運動が続けられ、軽く「ハアハア」と息が切れる程度の強度が理想的です。
[4]参照:e-ヘルスネット:心肺持久力
スロージョギングなら長時間の運動も取り組みやすい
体作りには60分以上の運動が効果的ですが、60分もの長時間に渡るランニングは続けられないと思われる方もいるでしょう。
そこで、運動に慣れていない方におすすめしたいのが「スロージョギング」です。
スロージョギングとは、ウォーキングをするくらいの速度で走る運動のこと。
目安は時速3km。スロージョギングはウォーキングの2倍もの脂肪燃焼効果があるとされており、体に負担をかけず筋力や毛細血管を成長させられる理に適ったランニング方法です。
【運動不足・ストレス解消】ランニングの時間は体力にあわせて10~30分
次に、運動不足やストレスを解消するためにランニングをしたいという方のランニング時間の目安をご紹介します。
個人の体力によりますが、10~30分を目安にすることをおすすめします。
厚生労働省が推奨する運動時間は20~30分
厚生労働省は運動不足の方に向けて軽い有酸素運動を推奨していますが、日常的に運動量が少ない人には「20~30分の運動」がおすすめされています[5]。
時速6kmくらいのゆっくりとしたスピードで2~3kmを走れば、ちょうど20~30分くらいの運動時間になり、ランニングによるストレス解消効果や爽快感を得やすいはずです。
ただし、運動不足の方なら20分も走れないという方もいると思います。ランニングを継続していけば持久力や筋力は自然とついていくので、最初は10分程度から始めても問題ありません。
大切なことは運動を習慣化させて続けることです。
[5]参照:e-ヘルスネット:運動処方
低い運動強度で長時間走ったほうが効果的
ストレス解消や体を動かすことを目的とするなら、運動強度は低めにしましょう。
速度を早めた強度の高いランニングでは、ストレスホルモンの分泌が促進されてさらにストレスを感じてしまうと報告されています[6]。
しかし、強度の低い運動ではストレスに対する抵抗性が高くなる上に、不安感や落ち込みを改善してくれる効果も。
ストレス解消のために体を動かすなら、軽く汗をかくくらいのゆっくりとしたペースで、低強度のランニングを長時間続けたほうが効果的です。
[6]参照:JSTAGE:身体運動によるストレスへの対策
【マラソン練習】10分のランニングから始めて走行時間60分を目指そう
フルマラソンを完走したい、マラソン大会出場を目指している、トップランナーになりたい…という方のランニング時間は、初心者であれば10分から始めて最終的に60分走ることを目標としましょう。
10分間のランニングで運動を習慣づけよう
マラソンのために練習を始めるなら、まずは10分ずつ走ってランニングを習慣づけることが大切です。
もちろん、もともと体力がある方なら20~30分の練習から始めても良いですが、ランニングを習慣化させるには無理なく走ることがポイント。
10分を軽く走りきれるようになってきたら、20分、30分…と10分ずつ走行時間を伸ばして60分を目指します。
60分間のランニングを完走できるようになれば、筋力が全身持久力は十分高まり、自然とマラソン向きの体へと整えられているはずです。
走行時間60分を達成できたらペース重視のランニングに移行
マラソン練習で60分間走れるようになったら、次はペースを意識したランニングへと移行します。
60分間というランニングの時間はキープしながら、時間内に走り切れる距離を伸ばしていきましょう。
60分で10kmを走れるようになれば、フルマラソンへの出場も夢ではありません。
【ファンランナー】楽しいと思えることが大切!ランニング時間の目安は30分
最後に、ファンランナーの方に向けてランニングの時間をご紹介しますが、走ることを楽しむというファンランナーの立ち位置では「運動効果」という意識を持っていない方が多いと思われます。
そのため、無理なく続けられるランニングの時間として確認していきましょう。
無理なく楽しく続けるなら30分のランニングがおすすめ
走ることを楽しむファンランナーにとっては、やはり「ランニングを無理なく楽しめる走行時間」が大切です。
そのため、自分が楽しいと感じられるランニング時間を設定するのが正解ですが、無理なく走るなら30分程度がおすすめ。時速7~8kmで3~4kmくらいの距離を走りましょう。
仕事が休みの日は60~90分のランニングに挑戦してみてもOK
1回30分のランニングでは時間が短すぎて物足りないというファンランナーの方は、休日に60~90分くらい走ってみてはいかがでしょうか。
平日は仕事などもあり、時間にも体力にも余裕がなくなりがちですが、休日なら目一杯ランニングを楽しめます。
時間やコースの緩急をつけて走れば、ランニングがより楽しくなるかもしれません。
ランニングをする時間帯はいつがいい?目的別のトレーニングメニュー例
ランニングで走る時間の目安についてご紹介してきましたが、同じくランニングにまつわる時間の問題として「ランニングをする時間帯はいつがいいか?」という疑問を持つ方もいるはずです。
そこで、おすすめの時間帯について目的別に掘り下げていきます。
ダイエット&脂肪燃焼効果を得るなら朝ラン
ダイエット効果や脂肪燃焼効果を得るなら、朝食前のランニングがおすすめ。
朝食前は前日の夕食後から何も食べておらず、長時間に渡り眠った後なので体内に糖質が少ない状態です。
最初に「有酸素運動開始から20分間は糖質が燃焼される」と解説しましたが、エネルギー源となる糖質が少ない状態で走ればより高い脂肪燃焼効果が得られます。
ダイエットメニューとして走るなら、朝食前の時間帯に朝ランニングをしましょう。
冬のランニング&走りやすさを重視するなら昼ラン
冬のランニングを楽しみたい場合や、走りやすさを重視するなら昼間の時間帯がおすすめです。
気温の低い冬は体も冷たくなっているので、比較的温かい昼に走ると怪我をしにくくなります。
また、時間を効率的に使うため、お昼休み中のランチ前にランニングをしているという方もいるようです。
リフレッシュ&ストレス解消なら夜ラン
リフレッシュ効果やストレス解消のために走るなら、仕事が終わった後の夜ランが効果的です。
1日のストレスや疲れを運動で発散できるだけでなく、熟睡しやすくなるため翌朝のスッキリ感も変わります[7]。
リフレッシュやストレス解消効果を高めるためには、就寝3時間くらい前に夜ランニングを行いましょう。
[7]参照:e-ヘルスネット:快眠と生活習慣
安全に長時間のランニングをするための4つの注意点
ランニングに最適な走行時間の目安と走る時間帯について解説してきました。
30分以上ランニングをしたいという方は、次の4つの注意点をしっかりと意識して安全に走るようにしてください。
準備運動のストレッチをお忘れなく!
長時間のランニングではもちろんですが、たとえ短時間であっても必ず行っておきたいのがストレッチです。
朝は体が活動しにくい状態になっているため、朝ラン派の方は特に入念にストレッチを行いましょう。
関節や筋肉をあらかじめほぐしておけば、脂肪燃焼効果が高まり怪我の予防にもつながります。
食事でエネルギー補給をしっかりと行う
30分以上のランニングをするなら、食事でエネルギー補給をしておくことも欠かせません。
特にダイエット目的で走っている方の中には、厳しすぎる食事制限を課している方もいると思います。
しかし、エネルギー不足の状態で走ると貧血・めまい・吐き気などの症状が現れるリスクもあるため、必要な栄養素はしっかりと補給するようにしてください。
水分補給で熱中症・脱水症予防
食事でのエネルギー補給も大切ですが、水分補給も欠かせません。
長時間に渡るランニングをするなら、走る前に水分補給をし、走っている最中もいつでも水が飲めるようにしておくことが体調管理の基本です。
夏場の水分不足は熱中症や脱水症状のリスクを高めるため、こまめに水分を摂るようにしてください。
全身持久力と体力にあわせた時間でランニングをする
今回の記事では目的別に目安となるランニングの時間を解説してきましたが、いずれもご自身の体力にあわせることが最も重要です。
無理に長時間走ろうとして続けられなかったり、怪我をしてしまったりするよりは、短時間でも少しずつ継続していく方が運動効果は現れやすくなります。
解説した内容はあくまでも目安として考え、ご自身の体力とランニングの質を高めることを優先してください。
「時間がない」を言い訳にしない!ジョギング効果は短時間&継続的なランニングで得られる
ランニングはシューズさえ準備すれば気軽に始められるスポーツですが、運動による効果やメリットを得るには、日常生活の中で運動習慣として継続することが最も大切です。
「いつから効果が現れるのか…」「10分間のランニングでは意味ない?」と不安に思う方もいるようですが、まずはトレーニングメニューを続けていきましょう。
ランニングはカロリーを消費でき、生活の中にも組み込みやすいのでダイエット方法や運動不足解消法として魅力的。
正しいフォームでコツコツとメニューをこなしていけば、きっと気がついたときには体が変わっているはずです。