ランニングを始めるにあたって、シューズ選びと同じくらい重要とされているのがフォームの習得です。
正しいランニングフォームを身につけると、効率よくエネルギーを使えるようになり走りが楽になるだけでなく、故障のリスクも軽減されます。
そこで今回の記事では、初心者から中級者の方に向けて、基本となるランニングフォームを実現させるポイントと、フォームを改善するための方法を解説します。
ランニングにおいて理想のフォームを習得することの大切さ
ランニングにおいてフォームが重要だとされているのはなぜなのでしょうか。
まず、間違ったフォームで走っていると体力の消耗が激しくなり、長く走り続けることが難しくなります。
さらに、膝や関節、筋肉への負担が大きくなりケガをする可能性が高まったり、運動効果が思うように現れなくなったりすることも。
ダイエット効果や体重減少を期待して走り始めたものの、「脚が太くなってしまった…」と悩んでいる方もフォームが間違っている可能性があります。
間違ったフォームで走っていると、ランニングにより弊害を感じてしまうこともあるため理想のフォームを習得することは重要です。
初心者必見!効率の良いランニングフォームを実現させる10のポイント
それでは、効率よく走れる正しいフォームを実現させるためのポイントを確認していきましょう。
最初は難しいかもしれませんが、ラン中に意識したり、練習したりしているうちに徐々に習得できるようになるでしょう。
背筋を伸ばして正しい姿勢を取る
ランニングを始めたばかりの方によく見られるのが、猫背になってしまうフォームです。
正しいフォームの基本形は、背中を丸めず良い姿勢を保つこと。背筋を伸ばすと上半身が安定し、腰やヒザに負担がかかりにくくなります。
普段から姿勢の悪い方であれば、走っているときも無意識のうちに猫背になってしまうこともあるので意識的に背筋を伸ばしてください。
上半身を軽く前傾させ重心をかける
背筋を伸ばしたままで、上半身を軽く前傾させればランニングフォームの基本が完成します。
背中から腰をまっすぐにしたまま、上半身部分を前に傾けるように腰から曲げましょう。5~10m先に目線が行くくらいの傾き具合が理想です。
常にアゴを引いた状態で走る
猫背になると顎が前に出てしまいがちです。しかしランニング中は、背筋を伸ばした前傾姿勢で、常に顎を引いた状態をキープするようにしてください。
長距離を走り疲れてくると顎が上を向きがちになりますが、顎をあげると呼吸がしにくくなるため運動パフォーマンスが低下します。
肩に力を入れず胸を張らない
ランニング初心者の方であれば、肩に力が入って力んだ状態になってしまう方もいるはずです。
肩に力が入ると腕の可動域が狭まり、推進力が弱くなるため体力を消耗しやすくなります。
胸を張ったり肩に力を入れたりせず、リラックスした姿勢を保つようにしてください。肩先は常に丸く保つようキープしましょう。
手元が視界に少し入るように腕を振る
ランニングでは腕の動かし方もポイントとなります。肩甲骨を意識して腕を後ろに向けて振り、腕で円を描くように動かすのが正しいフォームです。
手元が視界に少しだけ入るように腕を振ることが基本で、視界の下の方に見えていれば問題ありません。
膝と足首がまっすぐになるよう着地する
ランニングにおいて足部の動きは重要です。着地するときはひざ下と足首が地面に対してまっすぐになるようにしてください。
着地部分を足裏の中央部にし、足の裏全体でまっすぐ地面を踏むような感覚で着地します。
着地の際にひざを少しだけ曲げるようにすると、体に伝わる衝撃を軽減可能。
かかとやつま先から着地するタイプの方法もあり、「基本はかかと着地」「レース出場選手やトライアスリートはつま先着地が良い」とする方もいますが、足裏中央で着地する方法が最も脚に負担がかかりません。
地面を押すような足の運びで推進力を高める
推進力を得て走りを楽にするためには、地面を「蹴る」よりも「押す」イメージで足を運ぶことがコツです。
蹴り出すためには地面への接地時間を長くして力を溜めなければなりません。
接地時間が長くなると動きが滞って推進力が得にくくなるため、テンポ良く地面を押すようにして走りましょう。
線の上を走るようにまっすぐ走る
ランニングの基本フォームはここまで解説した通りでほぼ完成しますが、走り方において大切なことは「1本の線の上を走るようにすること」です。
体に左右へのブレがあると推進力が分散されてパフォーマンスが低下します。
目線も体もまっすぐに捉えて、左右へのブレを軽減させることが大切です。
腰高フォームでストライドを伸ばす
ランニングフォームの応用編として、「腰高フォーム」についても知っておきましょう。
腰高フォームとは、腰を高い位置で維持するフォームのこと。初心者の方にとっては難しいかもしれませんが、骨盤を前傾させ、お尻とおへその位置を上にあげるイメージを持つと腰の高い前傾姿勢が実現します。
腰高フォームは見た目に格好良いだけでなくストライドを伸ばしやすいので、基本のフォームを習得したらトレーニングしてみてください。
骨盤の回転を意識しながら腕振り
ランニングフォームでは骨盤のポジションや回転を意識することもポイントのひとつ。
腰高フォームでも骨盤の使い方をご紹介しましたが、腕の振りでも骨盤を回転させるように意識すると、骨盤と連動している脚が前に出やすくなるためランニングの持久力が高まります。
ランニングフォームを習得したら呼吸法も!効率的に酸素を取り入れる呼吸とは
正しいランニングフォームのポイントについて10個解説してきましたが、フォームの基本を習得できたら、次に呼吸法もトレーニングしておきましょう。
呼吸法の基本を覚えよう
呼吸法は体に酸素を取り入れて、全身に血液を循環させるため大切なこと。
- 鼻から吸って鼻から吐く
- 胸ではなくお腹を膨らませる腹式呼吸を心がける
- リズムよく呼吸をする
- 「4拍子」「6拍子」を意識しながら呼吸をする
ランニングにおける呼吸法のポイントは上記の4つです。
空気を鼻から吸って鼻から出す鼻呼吸を基本とし、おへその下を膨らませるように腹式呼吸をすると、呼吸持久力が高められる上に呼吸筋のトレーニングにもなります。
口呼吸はペースを上げるときなど、一時的に酸素吸入量を増やしたいときに併用しましょう。
ランニングにおける呼吸は「4拍子」か「6拍子」
そして、「4拍子」もしくは「6拍子」で呼吸をするように意識し、一定のリズムで行うことが基本です。
- 4拍子:2歩進む間に吸って、2歩進む間に吐く
- 6拍子:3歩進む間に吸って、3歩進む間に吐く
4拍子と6拍子の使い分けは、走るスピードによります。
一般的には4拍子が多く用いられますが、スピードを早めて走るときは6拍子の方が自然な呼吸になることも。
ランニング中の呼吸法には基本がありますが、あくまでもご自身にとって無理なく自然に呼吸できるようなリズムを見つけましょう。
自分のランニングフォームは正しい?姿勢を診断してもらうための方法とは
ランニングフォームや呼吸法の基本を解説してきましたが、自分のフォームが正しいのかどうか、自分自身で判断することは簡単ではありません。
しかし、スポーツ用品専門店には「ランニングフォーム診断システム」が設置されており、客観的な視点からフォームを分析してもらうことも可能。
代表的な店舗は、ミズノショップやアシックスランニングラボですが、ランニングのレッスンを実施している教室では、フォームチェックを受けた上で改善のためのレッスンを受けることもできます。
たとえランニング時の動画を撮影したとしても、自分自身で改善点を見出すことは難しいもの。
フォームを診断してもらえる施設を積極的に利用して、理想的なランニングフォームを実現していきましょう。
自宅で姿勢作り!ランニングフォームを改善するためのエクササイズ
診断を受けた結果、ランニングフォームが崩れていると判明したら、フォーム改善のための筋トレを実践してみましょう。
ランニングフォームへと近づける、自宅で簡単にできるエクササイズを3種類ご紹介するのでぜひフォーム改善法としてトレーニングに取り入れてください。
腰落ちを改善するツイストクランチ
まずは「腹直筋」と「腸腰筋」を鍛えられるツイストクランチです。
腰が落ちていたり、反っていたりする場合は体幹がうまく使えていないと考えられるため、お腹まわりの筋力を鍛えてフォームの安定感を高めましょう。
- 仰向けになり両手を後頭部にあてる
- 床から両足を離し、膝を直角に曲げる
- 上半身をねじるように起こして左膝で右肘をタッチする
- 同じように右膝で左肘をタッチする
- 左右10回ずつ3セット行う
ひざと肘をタッチさせるとき、タッチさせていない方の脚も床から離したままにしておくことがポイントです。
伸ばしている方の脚は、床と平行になるように意識してください。
フォーム安定を促す体幹トレーニング
次も体幹を鍛えるトレーニングをご紹介します。
ランニングに必要な筋肉は、大殿筋や大腿筋理想的などさまざまですが、やはり体幹をしっかりと鍛えることが大切。
ツイストクランチとあわせてトレーニングをすればフォームの安定感はかなり高まるはずです。
- 床に両手両膝をついて四つん這いの姿勢になる
- 左腕と右脚を床から離しまっすぐになるよう伸ばす
- 左腕と右脚を曲げていきお腹の下で膝と肘をタッチする
- 2と3の動作を5回繰り返したら反対側も同じようにする
トレーニングに基本のランニングドリルを取り入れる
学生の頃に陸上をしていたという方なら、「ランニングドリル」をご存じの方も多いのではないでしょうか。
ランニングドリルとは、リズムを取るような動きで走り方の基本を習得するためのトレーニングメニュー。
左右のバランスを改善したり、関節の可動域を広くしたりする効果が期待でき、ご紹介した2つのエクササイズに加えるとさらにフォーム改善のために役立ちます。
ランニングドリルにはさまざまな種類がある上に、言葉で説明してもイメージすることは難しい動き。
ランニングドリルを紹介している動画をチェックして、ぜひトレーニングの中に加えてみてください。
ランニングフォームの指導を受けるなら?東京・大阪のおすすめランニング教室
ランニングフォーム改善は自宅トレーニングでも可能ですが、やはりプロによる指導を受けたほうが確実で、早く習得できることは否めません。
そこで、本格的にトレーニングをしたいという方に向けて、おすすめのランニングフォーム改善レッスン教室を東京・大阪エリアからご紹介します。
東京でおすすめのランニング指導が受けられる教室
まずは、東京都内でおすすめのランニング教室を3つご紹介します。
ランニング教室名 | 指導形態 | 指導内容 |
Japanマラソンクラブ | ランニング教室 | 走り方基礎入門講座 |
プライベートレッスン | フォーム動画診断・トレーニング メニュー提案・パーソナルストレッチ |
|
リンクフィットネス | ランニング教室 | エクササイズ・ストレッチ・ランニングドリルなどの実践 |
オンラインレッスン | フォームの解説・エクササイズの解説 | |
ランニングクラブ トラック・トーキョー | マンツーマントレーニング | フォーム改善と運動効果を高めるための基礎 |
大阪でおすすめのランニング指導が受けられる教室
次に、大阪エリアでおすすめのランニング指導が受けられる教室も3つご紹介します。
ランニング教室名 | 指導形態 | 指導内容 |
Japanマラソンクラブ | ランニング教室 | 走り方基礎入門講座 |
プライベートレッスン | フォーム動画診断・トレーニングメニュー提案・パーソナルストレッチ | |
JUSTランニングクラブ | プライベートレッスン | 体幹トレーニング・呼吸エクササイズ・パフォーマンスアップトレーニングなど |
N.C.T | パーソナルレッスン | 体作りと動きづくりのトレーニングなど個人の希望に応じて |
セミパーソナルレッスン | 身体環境づくり・重心操作・上半身操作・下半身操作 |
ランニングフォームを改善してスピードアップ!姿勢を意識して身体への負担を減らそう
今回の記事ではランニングフォームについて詳しくご紹介してきましたが、フォームを改善するだけでスダイエット効果が高まったり、ベストタイムが出せたり、体への負担が軽減されたりと多くのメリットが感じられるはずです。
フルマラソンやマラソン大会への出場を考えているランナーだけでなく、距離を伸ばしたい方や運動効果を高めたい方も正しいフォームの習得は必要です。
男性・女性問わず、ランナーの方には何かしらフォームの癖があることが多いですが、ランニングフォームは着地方法から足の運び、膝や骨盤の使い方など突き詰めていくと非常に奥が深いもの。
解説したポイントを意識しながらまずはジョギングで練習して、無意識にでも美しいランニングフォームで走れることを目指しましょう。